【展望 米中覇権争い】中露による影響工作の脅威 本格的に日本に志向されたら、かなりの日本人が簡単にだまされる - イザ!

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展望 米中覇権争い

中露による影響工作の脅威 本格的に日本に志向されたら、かなりの日本人が簡単にだまされる

情報戦に関する世界共通の定義はない。本稿では、情報戦を「政治戦、影響工作(Influence Operation)、宣伝戦など情報が関係する戦い」と定義する。

情報の85%は、サイバー空間を利用して伝達・蓄積・分析・使用される。情報戦の中で最近最もホットな分野であるSNS(=ユーチューブ、ツイッター、フェイスブック)などを悪用した影響工作が及ぼす脅威について注意喚起したい。

影響工作では、偽情報や誤情報などを大規模に拡散することにより、人間の脳などの認知領域に影響を及ぼし、人間の言動をコントロールする。認知領域での戦いを「認知戦」という。影響工作を情報領域での戦いとみれば情報戦になり、認知領域の戦いとみれば「認知戦」ともいえる。

影響工作が世界的に有名になったのは、2016年の米大統領選でロシアが実施した工作だ。ロシア参謀本部情報総局(GRU)は、ヒラリー・クリントン氏に不利になる偽情報などを、SNSや内部告発サイト「ウィキリークス」などを通じて大量かつ頻繁に流布した。この工作は、クリントン氏に大きなダメージを与え、結果としてドナルド・トランプ氏勝利の一因になった。

20年の米大統領選でも、諸外国が行う影響工作が注目された。米国家情報会議の報告書「2020米大統領選挙に対する外国の脅威」は、以下のように指摘している。

《ロシア政府組織が、ウラジーミル・プーチン大統領の承認に基づき、偽情報によりジョー・バイデン候補と民主党を中傷し、トランプ氏を支持する影響工作を実施した。この工作は、米国の選挙プロセスに対する国民の信頼を損ない、米国の分断を悪化させた》

《中国当局は、米大統領選の結果を変えようとする影響工作を検討したが実施しなかった。中国当局は、選挙に干渉するリスクを冒すことが有利であるとは考えなかった。対象を絞った経済対策とロビー活動などの伝統的な手段の方が、有効であると評価したのだ》

要するに、ロシアは影響工作を実施した。しかし、米国内におけるトランプ氏を支持するネット上の過激な陰謀集団「Qアノン」などによる影響工作が強力で、中国の出る幕がなかったのだ。

問題は日本だ。

日本においても、Qアノンなどに影響を受けた人たちが、SNSを利用した陰謀論の流布などによる影響工作を行った。日本の保守派と目される人たちや有名な言論人が、陰謀論を簡単に信じる状況に私は驚愕(きょうがく)した。中国やロシアの影響工作が本格的に日本に志向されたら、かなりの日本人が簡単にだまされるであろう。

■渡部悦和(わたなべ よしかず) 元陸上自衛隊東部方面総監、元富士通システム統合研究所安全保障研究所長、元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー。1955年、愛媛県生まれ。78年東京大学卒業後、陸上自衛隊に入隊。その後、外務省安全保障課出向、ドイツ連邦軍指揮幕僚大学留学、第28普通科連隊長(函館)、防衛研究所副所長、陸上幕僚監部装備部長、第2師団長、陸上幕僚副長を経て2011年に東部方面総監。13年退職。著書に『自衛隊は中国人民解放軍に敗北する!?』(扶桑社新書)、『中国人民解放軍の全貌』(扶桑社新書)など。

zakzak


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