選挙区内での現金提供疑惑を受けて、菅原一秀前経済産業相が議員辞職願を提出したことで、所属していた自民党は東京都議選(7月4日投開票)への影響を懸念する。支持層の離反を招けば、秋までに行われる衆院選にも波及しかねないからだ。自民には「政治とカネ」の問題が相次いでおり、立候補予定者の危機感は高まっている。
「都議選はますます厳しくなる。自分の選挙も厳しい」。都連所属の衆院議員は、菅原氏の議員辞職願提出について苦渋の表情を浮かべた。
平成29年の前回都議選では、小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が躍進し、自民は過去最低の23議席に沈んだ。菅原氏は都民ファから都議会第1党の奪還を目指す自民に冷や水を浴びせた形となり、党幹部は「ここは耐え時だ」と神妙に語った。
菅原氏の疑惑は一昨年に報じられて以降、長く注目を集めてきた。統合型リゾート施設(IR)事業をめぐる汚職事件では、都連に所属していた元内閣府副大臣の秋元司被告=衆院東京15区、公判中=が収賄などの罪に問われるなど、「政治とカネ」の問題で自民に注がれる有権者の視線は厳しい。
参院自民は2日、党本部で都議選と静岡県知事選(20日投開票)に関する会合を開催。二階俊博幹事長ら党幹部も出席し、地域の状況などが報告された。
特に都議選の結果は過去にその後の国政選挙に影響を及ぼしたこともあり、都連は速やかに負のイメージを払拭したい考えだ。下村博文政調会長=同11区=は2日の記者会見で「菅原氏にも説明責任を果たすように努力していただき、党としても国民の信頼を得られるように対処したい」と述べた。(今仲信博)