東京地検特捜部が自民党の菅原一秀前経済産業相を公職選挙法違反(寄付行為)罪で略式起訴する方針を固め、菅原氏が議員辞職願を提出したことは、菅義偉(すが・よしひで)首相にとって大きな打撃となった。菅原氏は首相の側近議員として知られるだけに、与党内では、次期衆院選への悪影響を懸念する声も広がっている。
「略式起訴が出されるような状況で、『離党』や『辞職』などと報道でいわれている。極めて遺憾だ」。公明党の山口那津男代表は1日の記者会見で、菅原氏に絡む問題を厳しく批判した。
自民では、令和元年の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で河井案里元参院議員=有罪確定=と夫で元法相の克行被告=公判中=がいずれも議員辞職に追い込まれている。
立憲民主党の安住淳国対委員長は1日、記者団に「菅原氏も河井夫妻も説明責任を果たしていない」と指摘。自民の世耕弘成参院幹事長も、菅原氏について「本人がしっかり説明責任を果たすべきだ」と強調した。
自民では、首相が菅原氏や克行被告と近い関係であることも踏まえ、党全体に「政治とカネ」にまつわる負のイメージがつくとの危機感も広がる。7月の東京都議選や次期衆院選に悪影響も出かねない。
二階俊博幹事長は1日の記者会見で、「政治とカネ」の問題が選挙に与える影響について「真面目に政治を志す者にとって、『金が必要』なんて言われること自体が屈辱、けしからん話だ。国民に理解されるように、しっかり努力していきたい」と語り、党内を引き締める考えを強調した。(今仲信博)