【有本香の以読制毒】「入管難民法改正」成立断念の愚 朝日が熱心に報道 菅首相、ビビってわれわれの安全を蔑ろにしないでください - イザ!

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有本香の以読制毒

「入管難民法改正」成立断念の愚 朝日が熱心に報道 菅首相、ビビってわれわれの安全を蔑ろにしないでください

「『強行すれば選挙は負ける』入管法改正、追い込まれ断念」-。18日の夜9時過ぎ、朝日新聞がデジタル版にあげた記事の見出しだ。編集委員1人を含む記者5人連名での“渾身(こんしん)”記事。朝日新聞の「勝ち名乗り」といった方がいいかもしれない。

先週から嫌な予感がしていたが、2月19日に閣議決定されて国会に出ていた「入管難民法改正案」の今国会成立が断念となった。事実上の廃案とも報じられた。この結末を、筆者は極めて遺憾に思う。

先週の本コラムでも触れたが、今回頓挫した改正は、現在の入管難民法の重大な「穴」を塞ぐための処置だ。

一例を挙げると、現行法では、重大犯だろうが、テロリストだろうが、日本滞在中の外国人が「難民申請」さえすれば、強制的に国外退去させることができない。おまけに、難民申請は何度でもできる。この脆弱(ぜいじゃく)性を潰す目的も改正にはあった。

菅義偉政権と自民党の不甲斐なさ、常に「選挙ファースト」で、クレーマー野党や公明党に阿(おもね)る姿にはあきれて言葉もない。こんなことを繰り返していては、自民党は、「選挙のため」を思うあまり、票を減らすことになるだろう。

閣議決定から約3カ月、朝日新聞は、昨年来続けてきた「入管難民法改正」阻止キャンペーンのアクセルを、一層強く踏んだ。3カ月間で「入管法」に関する記事を何と63本も掲載した。特に、5月7日以降の約2週間は荒波の追い込みで、40本以上の記事を掲載している。

その結果、18日朝、自民党の森山裕国対委員長が、二階俊博幹事長らに「廃案」を切り出し、誰からも異論なく了承されたのだが、このときの模様が冒頭の見出しの記事に詳述されている。朝日新聞が熱心に煽った改正反対キャンペーンの様子には既視感がある、と感じた。その答えは、19日の朝日新聞夕刊にあった。

「『今国会断念』は当然だ。入管法の末路に、ちょうど1年前の検察庁法を思い出す」

これは名(迷?)物コラム『素粒子』の一文。確かに、あのときとそっくりだ。『赤旗』が先導し、朝日新聞が煽り、毎日新聞、東京新聞が追随、国会で野党が騒ぐ。学者や文化人が集まって「声明」「署名」を出す。赤旗お気に入りの芸能人が「はんたーい」と声を挙げる。安倍晋三政権時に幾度となく繰り返されたお馴染みのパターン。

今回、今までと異なる点は、「収容されていたスリランカ人女性の死」というトピックが加わったことだろう。

朝日新聞はじめとするメディアと左派野党が、「スリランカ女性の死」を、これでもかと政治利用する姿は、実に醜悪だ。事情はどうあれ、異国の地で若くして亡くなった人に日本人の多くが同情を覚えるが、朝日や野党はその人情に付け込む。だから彼女について、自分たちに都合のいいことだけを報じ、都合の悪いことは報じない。

この件は横に置いて本題に戻ろう。

ちなみに、昨年7月1日時点で、日本に不法残留している外国人は8万人余、そのうち、摘発され国外退去が確定したにもかかわらず、退去を拒む「送還忌避者」が3000人超。さらにこの中で、1年を超える実刑判決を受けた者が約490人、3年以上の実刑判決を受けた者が310人もいるが、いずれも強制退去させられない。刑法犯の約半数が難民申請中だ。

共産党の志位和夫委員長は自身のツイッターでこう書いた。

「在留期限が切れたというだけで、何の犯罪も犯していないのに、裁判所も通さずに、入管の裁量で、外国人を収容施設に問答無用で追いやる。こうした『全件収容主義』こそ現行入管制度の非人道的な大問題です」

当然、「そもそも、オーバーステイは犯罪だろ」などの批判が殺到した。目下、炎上中だ。

朝日新聞の社説は言う。

「政府与党は、この国で生きる外国人を尊厳ある存在としてとらえているのだろうか。そんな根本的な疑問がわいてくる」(5月14日)

志位さん、朝日新聞さん、あなた方は一度でも、日本人の安全や尊厳、日本でルールを守って真面目に生きる外国人の矜持(きょうじ)を考えたことがありますか。そして、菅首相、こんな人たちにビビって、われわれの安全を蔑ろにしないでください。

■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。

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