「批判と中傷の境目、判例で分かりやすくしたい」木村花さん母

産経ニュース

フジテレビの番組「テラスハウス」に出演したプロレスラー木村花さん=当時(22)=が誹謗(ひぼう)中傷を受けて死亡した問題をめぐり19日、ツイッターでの中傷の投稿者に損害賠償を命じる初めての判決が言い渡された。原告で母親の響子さんは東京都内で会見し、「自分の主張が正しいと思い、ゆがんだ正義感で批判という名の中傷をしてしまっている人が多い。判例を残すことで、批判と中傷の境目を分かりやすくしたい」と決意を語った。

東京地裁の判決では、男性に支払いを命じた約129万円のうち、響子さんの精神的苦痛に対する慰謝料の額として50万円が認定された。代理人の清水陽平弁護士は、故人に対する「敬愛追慕の情」の侵害を訴えた民事訴訟の場合、損害賠償の金額は高くても10万円程度にとどまると指摘した上で「今回は事案の重大性を認めてもらえた」と評価した。

しかし、中傷投稿をした男性は裁判を通じて一度も法廷に姿を見せず、訴えに対する答弁書を提出することもなかった。

「裁判所に重大な誹謗中傷だと認めてもらった」と語った響子さんは、男性自身の言葉を聞くことなく裁判を終えたことについて「私の理解を超えた投稿内容だったからこそ、なぜそんなことを書いたのか知りたかった。自分のしたことに向き合ってほしいというのが一番大きかったので、残念で悔しい」と唇をかんだ。

響子さん側は、他の複数の中傷投稿についても情報開示や損害賠償請求の手続きを進めているが、まだ投稿者を特定する段階という。

一方で「(花さんを)助けられなくて親失格だ」「娘の名前で金もうけをしている」といった中傷の投稿は、今も続いているという。「現状では、私から見える風景は変わっていない」。響子さんはこう話し「今日の時点では、まだ花に報告できない。声を上げた人が中傷され、中傷を恐れて声を上げられなくなる状況を変えたい」と訴えた。