緊急事態宣言の延長で、東京都は12日以降の休業要請などについて見直しを行い、劇場や演芸場、イベントは時短と、上限5000人かつ収容率50%の人数制限を条件に観客を入れての開催が可能と発表。一方、1000平方メートルを超える映画館などは引き続き休業要請の対象とした。エンタメ業界内でも明暗が分かれた線引きに、映画関係者らからは不満の声が上がっている。
「これ以上休んでいられない」。全国の映画館、演芸場などが加盟する全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)の担当者はこう話す。別の映画関係者は「演劇が大丈夫で映画がだめというのは、いったいどういう判断か」と不満をあらわにした。
全興連は緊急事態宣言の延長決定前の6日に見解を発表し、業態に伴う感染リスクに比べて「非常に厳しい要請をされている」と訴えていた。映画館では営業している地域に観客が「越境」しているケースがあるとし、人の移動増加につながる可能性も指摘。大手シネコンの関係者は都の判断に「もう、措置内容に粛々と従うしかない。いい加減、終わりが見えないのがつらい」とため息をつく。
日本音楽事業者協会会長で大手芸能事務所ホリプロ社長の堀義貴さんはツイッターに「イベントは首の皮一枚繋がりました。(中略)ただ平日ガラガラの百貨店や映画館が休業要請というのは、まったく理解不能で不満です」と投稿した。
一方、舞台、演芸などは、12日以降の営業再開の告知が相次いだ。
歌舞伎座(東京都中央区)は「五月大歌舞伎」公演を開催する。新橋演舞場(同)でも12日から「滝沢歌舞伎ZERO2021」を再開すると発表した。新国立劇場(渋谷区)は、今月予定の演劇やオペラのスケジュールを改めて告知。総席数の50%を超えない範囲でチケット販売を行う。休業していた寄席も、鈴本演芸場(台東区)などで12日からの再開を発表した。