現場が密室で立証が難しいとされる乳幼児への虐待を巡り、検察が最高検と全国の8高検に担当検事を配置して対策強化に乗り出したことが26日、関係者への取材で分かった。子供が頭部にけがを負う事件では医学的見解が分かれることが多く、近年は無罪判決が相次ぎ、検察の課題となっている。担当検事が捜査のポイントを集約し、実務を担う全国の地検と共有する仕組みを目指す。
乳幼児を激しく揺さぶり脳に傷害を負わせたとされる虐待事件で、検察側は(1)急性硬膜下血腫(2)網膜出血(3)脳浮腫-の3つの兆候があれば、激しい揺さぶりがあったとする乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)理論を立証の柱とし、裁判所は医師の証言などを根拠に有罪認定する傾向にあった。
だが、近年は大阪を中心に各地で、病気や事故といった他の原因が考えられるとの理由から、SBS理論が否定され、無罪判決が出されるケースが目立っていた。