JR脱線事故16年 コロナ禍、それぞれの追悼

JR脱線事故16年 コロナ禍、それぞれの追悼
JR脱線事故16年 コロナ禍、それぞれの追悼
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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う3度目の緊急事態宣言を受け、昨年に続いて追悼慰霊式が中止となったJR福知山線脱線事故。「安全な世の中になってほしい」。そう願いながら例年現場を訪れていた遺族らは、それぞれの場所で祈りをささげた。

 長女の中村道子さん=当時(40)=を亡くした藤崎光子さん(81)は新型コロナの感染リスクや自身の体調を考慮し、大阪市城東区の自宅で追悼した。例年は「発生時刻には娘の最期を感じたい」と現場を訪れていただけに、苦渋の決断だった。

 藤崎さんは「年月が悲しみを癒やすというのは嘘ね。あの子を失ったつらさは深まるばかり」とつぶやき、「道子の死を無駄にしないために、JRの安全を一生かけて見守っていく。だから、どうか私のような遺族をこれ以上一人も出さないで」と訴えた。

 次男の昌毅(まさき)さん=当時(18)=を亡くした上田弘志さん(66)は発生時刻は自宅で過ごし、その後、現場を訪れた。三男(31)に子供ができたことを報告したといい「目には見えなくても三男や孫のそばにいてくれていると思っている」と語った。

 JR伊丹駅(兵庫県伊丹市)前の広場では、事故の犠牲者を悼み、安全を願って風船約20個を飛ばすイベントが行われた。「地上はコロナで大変ですよ。安心安全な世の中に早くなりますように」。事故で負傷した増田和代さん(51)=伊丹市=は、風船にそんなメッセージを書き記した。

 JR西日本の慰霊式がコロナ禍で中止になった昨年、事故を伝える場を欠かしてはならないと、自らこのイベントを企画。増田さんは「事故のことが、せめてみんなの心の片隅にあってほしい」と話した。

 事故で当時大学生だった次女が負傷した三井ハルコさん(65)=同県川西市=は、JR西が追悼施設で行った献花などの様子を、自宅からオンラインで見守った。「たくさんの人と同じ時間を共有することはできたかな、と思う」と感想を語った。

 三井さんは今も、事故の負傷者と家族が集まる会の中心メンバーとして活動。事故から16年という歳月を踏まえて、「ときには私たちからJR西に提案することもあるだろう。その関係性の中で、新たなものを生み出していく新たな局面に入っているのだと思う」と話した。