福岡県飯塚市で平成4年、小学1年の女児2人が殺害された「飯塚事件」で、殺人罪などで死刑が執行された久間(くま)三千年(みちとし)元死刑囚=執行時(70)=の再審請求について、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は、弁護側の特別抗告を棄却する決定をした。21日付。5裁判官全員一致の結論。再審開始を認めない判断が確定した。
確定判決などによると、久間元死刑囚は、登校中の女児2人=いずれも当時(7)=を誘拐して首を絞めて殺害し、山中に遺棄した。一貫して無罪を主張していたが、状況証拠から死刑とされ、平成18年に最高裁で確定。20年に刑が執行された。
再審請求審の最大の争点は、遺体に付着した血痕から元死刑囚と同じDNA型が検出されたとする当時の鑑定結果の信用性。再審無罪となった足利事件と同じ「MCT118型」という手法だった。
1、2審決定は、現在の技術に照らすと当時の鑑定は「慎重に評価すべき」と指摘する一方、ほかの証拠から「元死刑囚が犯人であることが重層的に絞り込まれている」などと認め、再審請求を退けた。
弁護側は、当時のDNA型鑑定の証明力が下がったことを受けて、別の証拠も再評価するよう求めて特別抗告したが、第1小法廷は「DNA型鑑定の証明力が別の証拠の評価を左右するとはいえず、再評価は必要ない」として退けた。