「こども庁」めぐり主導権争い 文科省と内閣府、与党に根回しも

 政府・与党で子供関連の政策を一体的に扱う「こども庁」創設に向けた議論が進む中、関係省庁による主導権争いも始まっている。内閣府や文部科学省は個別に組織案をつくり、与党への根回しに余念がない。菅義偉(すが・よしひで)首相がこだわる「縦割り行政の解消」に配慮する一方、既得権益を守りたい思惑も透ける。

 「トッププライオリティー(最も優先順位が高いの)は教育。就学児も対象とするならば、文科省をメインとすべきだ」

 柴山昌彦前文科相は「こども庁」について、「組織論よりも機能面から入るべきだ」とした上で、教育を重視するよう訴える。文科省案では小中学校の義務教育を担う初等中等教育局などから「子供の福祉、保健と関連の深い課の業務をこども庁に移管」するとしている。

 具体的な業務内容としては、幼児教育▽生徒指導▽学校保健▽学校安全-などを掲げる。小中学校の義務教育も含め、教育の根幹は文科省に残したうえで、「こども庁」を文科省の外局に置く。新組織の定員は各省庁から300人を集める想定だ。

 一方、内閣府案は「こども庁」を各省から独立した組織として内閣府に新設するとし、定員は200人とする。内閣府は2パターンの案を示したが、このうちの1つが、小中学校の義務教育も「こども庁」の所管としたことが波紋を呼んでいる。

 文科省幹部は「できるならやってみればいい。義務教育を担うのは国家の基盤を背負うということ。その覚悟があるのか」と憤る。

 一方、子供に関連した社会保障政策を幅広く扱う厚生労働省は静観の構えだ。

 同省幹部は「縦割りになっているがゆえにうまくいっていない部分は何か。そこから議論をすべきだ」と指摘。組織論を優先する他省庁を牽制(けんせい)しつつ、「専任の閣僚を置いてサポートする体制はいいことだ」とも語る。

 首相に「こども庁」創設を提言し、議論のきっかけを作った山田太郎参院議員は「組織論ありきではなく、インフラとして子供の命を守る体制強化を図り、そのための財源を確保することが重要だ」と訴える。(長嶋雅子)

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