路上で倒れていた男性を車でひいて死亡させた上、現場から立ち去ったとして、自動車運転処罰法違反(過失致死)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた警視庁職員、五味丈士被告(55)の判決公判が14日、東京地裁で開かれた。井下田英樹裁判官は「前方を注視しても事故は回避できなかった疑いがある」として過失致死は無罪とした一方、ひき逃げは有罪と認めて罰金50万円を言い渡した。
判決などによると、事故は昨年7月19日午前4時過ぎ、東京都北区上十条の環七通りで発生。五味被告は路上に横たわっていた会社員の男性=当時(21)=を車でひき、約15分後に現場に戻って119番通報した。男性は死亡した。
井下田裁判官は、未明の幹線道路の側道に人がいることは予想できず、付近の交通状況からも男性に気付くのは「困難」と判断した。一方で、現場に戻って通報後、警察官らに事故状況などを説明しないまま立ち去っており「精神的動揺から救護義務の履行が不十分にとどまった」とした。
東京地検の山元裕史次席検事は「判決内容を十分検討して適切に対処したい」としている。