【サラソタ(米フロリダ州)29日(日本時間30日)=竹濱江利子通信員】米大リーグ、レイズの筒香嘉智外野手(29)は、オリオールズとのオープン戦に「1番・DH」で出場し、一回に先頭打者本塁打となる1号アーチを放って2打数1安打1打点、1得点だった。7回制で行われた試合は8-3で勝利。ケビン・キャッシュ監督(43)は筒香の1番打者としての適性に期待し、「昨季とはひと味違う」と今季の本領発揮を予言した。
■お辞儀ポーズで喜び
角度の付いた打球はジャンプした中堅手の上を越えた。快音を響かせたのは一回。1番打者として先頭で打席に入ると、左腕ジマーマンに対し初球ファウルの後、92マイル(148キロ)の真っすぐを捉え、距離400フィート(約122メートル)あるバックスクリーンまで運んだ。
「1番打者は、いろいろな情報が逆に邪魔するときがある。そこを一度一度遮断して自然体で入ることをすごく意識している」
そう記者会見で話していたスラッガーが、言葉通り、いきなり豪快な一発。ダイヤモンドを一周すると、ベンチ前で待ち構えたアダメスと両手をそろえたお辞儀ポーズで喜びを分かち合った。
60試合制の昨季は打率1割台。不慣れな環境に加え、コロナ下でのメジャー1年目となり苦戦を強いられた。しかし、8本塁打、24打点はいずれもチーム2位と勝負強さの一端を発揮。2年契約の2年目となる今季はメジャー公式サイトで「ブレーク候補」に挙げられるなど期待を受けている。
■最近8試合、打率・350
今季のオープン戦では球筋を見極めることに集中した序盤こそなかなか安打が出なかったが、最近8試合は打率・350(20打数7安打)と状態を上げてきた。出塁率も・349と「1番」の役割を果たしている。
そんな姿に信頼を寄せるのがキャッシュ監督だ。一塁手・崔志万の戦列離脱で、筒香にとって7年ぶりとなる一塁での起用を決断。さらに「四球率の高さ(昨季チーム2位の14・1%)とチームのための打撃をしてくれる」ことを理由に「1番」を任せる試合が増えており「昨季からの課題に、しっかり取り組んできたのが分かる。今季は出番を最大に生かし、昨季とはひと味違うヨシ(筒香)が見られるだろう」と明言した。