大学入学共通テストの出題教科・科目の再編案が公表された24日、令和7年1月に初回の受験生となる生徒や保護者からは不安の声が聞かれた。「受験対策が不安」「子供にプログラミングをどう学ばせればいいのか」。大学入試改革で準備の早期化が加速する中、4年後に受験を迎える中学生らは試験本番に向け、学習スタイルの変化を求められることになる。
「過去問がないので、どう対策をすればいいのか心配」。東京都杉並区立中2年の高栖彩葉(いろは)さん(14)は不安を口にする。刷新される共通テストの受験生第1号となるのは、4月に中3に進級する世代だ。
高校で来年春から段階的に実施される新学習指導要領の基軸となるのは「主体的・対話的な深い学び」。24日に公表された「歴史総合」「地理総合」「公共」「情報」の問題例では、能動的な思考が求められる会話文や複数の資料を読み解かせる出題が目立った。
高栖さんが通う中学校では、数人のグループに分かれて地球温暖化などの課題について意見交換や討論をする授業も増えているという。「同級生たちと議論するのは面白いし得意なので慣れていきたい。目標にしている大学があるので、逆算して準備を進めたい」
一方、目黒区立中2年の森田尚緒(なお)さん(14)は「暗記中心の穴埋め問題などは得意だが、答えのない問題の議論や資料の読み解きは苦手。入試改革は意識してこなかったけれど、不利になってしまいそうなので、しっかり準備しておきたい」と意気込んでいた。
新設されることになった「情報」の問題例は、選挙で政党に配分される議席数決定の方法をプログラムを通して考察したり、サッカーワールドカップ(W杯)のパス本数や反則数の統計処理データを読み解かせたりする内容となっていた。森田さんは小学6年から1年ほど教室に通った経験があるプログラミングに苦手意識はないという。
「本人が望むなら、再びプログラミング教室に通わせるのも選択肢」。こう話す森田さんの母親(42)は「来年、共通テストを受験する予定の高校2年生の兄がいるが、その経験がどこまで役立つのか想像できない。ただ、これからの時代に社会で活躍するために必要とされる能力が問われるわけなので、十分に情報を収集してサポートしていきたい」と力を込めていた。(玉崎栄次)