五輪柔道金メダリスト古賀稔彦さん(53)の死去を受け、母親愛子さん(79)=佐賀県みやき町=は24日「全てを柔道に懸けた人生だった」と振り返った。闘病を知らされていなかったといい「突然のことで言葉が出ない」と話した。最後に言葉を交わしたのは2月上旬。好物の佐賀の焼き菓子「丸ぼうろ」を送ると、古賀さんは普段と変わらない明るい様子で「届いたよ。ありがとう」と電話をくれた。「自分の体がむしばまれていることに気付いて、私に心配かけないようにしたのかな」とおもんぱかった。
「東京に行って強くなる」。小学校の卒業文集にそうつづったという古賀さん。子どもの頃からどんな時でも練習を休まなかった。1人残り、指導者に頼み込んで背負い投げの特訓をしていたといい「あの頃から柔道一本で生きると決めていたんだな」と回顧する。「古賀稔彦という柔道家がいたと皆の記憶に残ればうれしい。皆を喜ばせてくれてありがとう。お疲れさま」。わが子に語り掛けるように言った。