「功名が辻」 千代にひきずりまわされる一豊にクスリと笑み、大河ドラマで仲間由紀恵が本領発揮

上川と仲間の名コンビがドラマを盛り上げた
上川と仲間の名コンビがドラマを盛り上げた

【司馬遼太郎をもっと知りたい】

 『功名が辻』は司馬遼太郎の長編には珍しく、主役のひとりが女性。戦国乱世、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康と天下のかじ取りが変わる中で、わずか50石から土佐の大名にまで出世した山内一豊と妻、千代の涙と笑いの物語だ。

 小説は、一豊と千代の婚礼から始まる。一豊(伊右衛門)は流浪の末にやっと織田家に仕えたが、「ぼろぼろ伊右衛門」と呼ばれるほど貧しい若者。

 一方、千代は評判の美人で、利発さを表に出さず、人に愛される娘だ。ともに早く父を亡くし、さびしさも味わってきた2人は質素な婚礼の後、互いをまじまじと「値ぶみ」し合う。司馬は一豊が千代の美しさを認めたと記しながら「性質も可愛い女らしい。この可愛い性質の女に、伊右衛門は生涯ひきずりまわされようとはおもわなかったであろう。」(『功名が辻』文春文庫)と書く。くすりと笑いながら、若い2人を応援するような書き方だ。

 この話は2006年に大河ドラマとなった。親を亡くした千代(仲間由紀恵)は、仕官の口を捜す山内一豊(上川隆也)に救われ、2人はやがて夫婦に。出会いの場面がロマンチックなのは、恋愛ドラマの名人、大石静の脚本らしい。木下藤吉郎(柄本明)の配下となった一豊の「一国一城の主に」という夢をかなえるため、千代の奮闘が始まる。