香港民主派の出馬困難に 立法会選も再延期か

中国全人代で、香港の選挙制度見直しの提案理由を説明した王晨・常務委員会副委員長=5日、北京の人民大会堂(共同)
中国全人代で、香港の選挙制度見直しの提案理由を説明した王晨・常務委員会副委員長=5日、北京の人民大会堂(共同)

中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)が開幕した5日、同常務委員会の王晨(おう・しん)副委員長は香港の選挙制度の見直しについて説明、行政長官を選ぶ組織である選挙委員会の権限を大幅に拡大する方針を示した。選挙委は親中派が多数を占める。中国共産党は民主派なき香港の建設を進めていく構えで、「中国化」に歯止めがかからない香港の国際評価にも影響が出ている。

王氏は選挙委に関し、立法会(議会)選の「全候補者を指名する権限」が付与されるとの見通しを示した。選挙委は金融、不動産、商業など各界の代表者1200人で構成され、親中派が多数を占めている。

現行制度では立法会(定数70)の半数は直接選挙枠で民主派有利。しかし制度が見直され、選挙委の指名がないと立候補できなくなれば、民主派の出馬そのものが難しくなる。王氏は、新たな選挙制度では「選挙委が多数の立法会議員を選出する」とも述べた。

これについて、香港ネットメディア「香港01」は(1)立法会の定数を90に増やす(2)直接選挙枠を35議席から20議席に大幅に削減する(3)代わりに選挙委のメンバー枠40議席を新設する-などと報じている。権限拡大が見込まれる選挙委自体も親中派の枠を新設して定員を1500人に増やし、民主派に有利な区議会(地方議会)議員の枠(117人)を廃止するとみられる。

こうした選挙制度の見直しについて民主派政党、民主党の羅健煕主席は「声を上げるのがさらに難しくなった。選挙への参加を続けるのか考える必要がある」とコメント。香港大法学部の陳文敏教授も香港メディアに、「(新制度で)議席が増えても、市民は民意を代表する選挙とは考えないだろう」と指摘した。

ただ、選挙委のメンバーが選出されるのは今年12月で、9月の立法会選に間に合わない。

もともと昨年9月に実施予定だった立法会選は、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に1年延期されていたが、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは5日、「再延期はほぼ確実」と報じた。

一方、米シンクタンク「ヘリテージ財団」は4日、経済自由度の2021年版ランキングを発表、昨年2位の香港を評価対象から外した。「香港の政策は今や中国政府の統制下にある」などが理由だった。香港は19年まで25年連続トップで、昨年、シンガポールに首位を譲り渡していた。(藤本欣也)

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