全国の地権者の相談に応じているNPO法人「区画整理・再開発対策全国連絡会議」の遠藤哲人事務局長によると、差額の計算は固定資産税評価額を基準とするのが一般的。89年の土地基本法制定以降、評価額自体が数倍に上がり、徴収額も予想外に増えるケースが多いという。
60~90年代、都市部への人口流入の受け皿として、郊外で区画整理により宅地が開発された。「事業には数十年かかり、当時を知る職員もいないのが現状。多くの事業が終わろうとしており、今後、問題が顕在化するだろう」と遠藤さん。相続や購入で得た土地が、実は多額の徴収対象という可能性もある。
過去には盛岡市や広島市で高額徴収を求められた地権者による住民運動が起き、市が事実上、減額したこともあったという。遠藤さんは「条例を定めて救済措置を設けた事例もある。自治体は納得を得られるよう情報公開と説明を徹底すべきだ」と話している。
土地区画整理事業 土地区画整理法に基づき、一定区域内で道路や公園、宅地などの配置を整備し、宅地利用の増進を図る事業。地権者らでつくる組合や自治体が主体となって実施する。国土交通省によると、公共施設が不十分な区域では、地権者の宅地面積は事業前に比べ小さくなるものの、都市計画道路や施設が整備されることにより、利用価値の高い宅地が得られるとしている。2019年3月現在、全国で807件の事業が進んでいる。