
大阪市立高校の再編で市立扇町総合高(同市北区)、市立南高(同市中央区)の2校と統合され、来年度末で現在の校舎がなくなる市立西高(同市西区)の生徒らが、大阪メトロ・阪神九条駅近くにある商店街の店舗シャッターをカラフルなイラストなどで彩る「シャッターアート」の制作を進めている。生徒らの思い出作りを兼ね、交流してきた商店街に感謝を伝える取り組みで、新型コロナウイルスの感染拡大で意気消沈しがちな商店街に元気を与えている。
2月中旬の完成に向けてシャッターアートが姿を現しつつあるのは、同校の生徒がイベントの手伝いや販売実習などで交流を続けてきた九条新道駅前商店街(通称・キララ九条商店街、同市西区)。統廃合を知った商店街側から「思い出アートを残してはどうか」と生徒らに提案があり、3年生を中心に約100人が腕を振るうことになった。
流通経済科の約80人が野外実習として取り組み、美術部と書道部から約20人がクラブ活動として参加した。昨年はコロナ禍で同商店街のイベントも中止になり、交流の機会がなかった生徒らは久々の活動に大張り切り。昨年12月から週1回のペースで放課後などに集まり、すし店や眼鏡店など6店舗で作業を進めてきた。
制作にあたっては、生徒らが各店の要望を聞き取った上で、それぞれ10枚の下絵を作成。その中から各店主が気に入ったデザインを採用した。6点とも高校生らしくフレッシュな印象のデザインとなっている。
リーダーの山本樹理さん(18)は「シャッターに凹凸があるので描きにくくて大変」と語る一方、「『進んでるね』『頑張って』とお客さんが声をかけてくれ、みんなで協力することが楽しい。いつか思い出の絵を見に来ようと話している」と笑顔を見せた。
同商店街で服飾店「モンベベ」を経営する松田孝志理事は「事あるごとに商店街を盛り上げてくれた」と振り返る。市立西高との交流が始まったのは約6年前。有終の美を飾る今回のシャッターアートに「完成に近づき、うれしいような、寂しいような気持ち。(生徒らが)卒業しても商店街に足を運んでほしい」と名残を惜しんでいる。(北村博子)