不満抱える支持者あおったトランプ氏 中山俊宏・慶大教授

6日、米ワシントンの連邦議会議事堂の前で抗議するトランプ大統領の支持者(ロイター)
6日、米ワシントンの連邦議会議事堂の前で抗議するトランプ大統領の支持者(ロイター)

 トランプ米大統領の支持者による連邦議会議事堂占拠は、大統領選敗北を認めないトランプ氏が選挙の不正を訴え、その不満のエネルギーが満タンとなり暴発した。民主主義国家として非常に重要な「権力の平和的な移譲」を脅かす前代未聞の出来事だ。

 トランプ現象の根幹には製造業の衰退や、一部の白人が変容していく社会の中で居場所を見いだせないなどリアルな不満がある。トランプ氏はそうしたリアルな不満をあおり、それを政治的に利用した。同氏は2016年大統領選でも負けたらそれは不正の結果だと主張すると宣言しており、今回の件も4年前に米国がトランプ氏を選んだことの必然的な結果ともいえる。

 ただ、何があってもトランプ氏にひれ伏してきたペンス副大統領や、上院共和党トップのマコネル院内総務が、制度にのっとった政権移行を進めようとしたことで米政治の良識はギリギリ持ちこたえた。一方で、トランプ現象を構成する人たちが抱える不満は今後も続いていく。トランプ氏が議事堂占拠をあおった問題とは分けて考えるべきだ。

 バイデン政権が誕生しても社会の分断は残る。しかし、米国を一つに戻す答えは誰も持っていない。ホワイトハウスを奪還し上下両院で多数となる民主党は、慢心に陥る可能性があり、超党派の取り組みを進めることが今まで以上に重要になる。バイデン次期大統領は、超党派の取り組みに関心のある共和党や民主党の議員をできるだけ味方に付けることが大事だ。

 議会では譲歩や妥協をしながら合意形成していくことも必要だ。政治とは元来そういうものだ。オバマ、トランプ時代は政治が劇場化しすぎた。退屈な政治をする上で、バイデン氏以上の適任はいないかもしれない。(聞き手 坂本一之)

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