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2021年は東日本大震災から10年の節目にあたる。死者・行方不明者2万2000人を超す未曾有の大災害。この悲惨な教訓から、地震科学探査機構(JESEA)では、地盤の異常変動を基にシミュレーションした地震発生の兆候を会員制サイト「MEGA地震予測」で発信し続けている。予測の成功率は87・2%と極めて高く、「驚異の捕捉率」(地震学者)と称されるほど。そのJESEAが「いま最も危ない」と注目するのがこの3ゾーンだ。(海野慎介)
JESEAは13年に設立。測量工学の世界的権威、村井俊治・東大名誉教授が会長を務める。
予測を配信するきっかけは、村井氏が先の震災前、東北地方の土地で異常な隆起沈降、左右のズレなどをとらえながら、その現象を生かせなかった反省からスタート。巨大地震が起き、津波などの被害を受ければ、再び万単位の死者・行方不明者が出る。「人の命を救いたい」(村井氏)。その思いで取り組んでいる。
分析は、地上約2万キロメートルを周回するGNSS(衛星測位システム)のデータを活用。国土地理院が公表する全国約1300カ所の電子基準点で、地盤の変動を観測し、地面が大きく沈むなどの異常現象を基に発生地域をシミュレーションする。
地図中の暖色の地域は地盤が隆起し、寒色は沈降、矢印は東西南北にどの程度、変動したかを表す。4週間で4ミリ以上の変化があった場合のみ記載し、矢印が長ければ長いほど大きく動いたことを意味する。「普段から地盤は隆起沈降し、東西南北に動いている。そのひずみが地震を引き起こすと考えている」と村井氏。