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コロナワクチン確保も…持病高齢者にはリスクといえる副反応の実態

副反応はアストラゼネカのワクチンに限った話ではない。同年11月18日、米科学誌「サイエンス」は、ファイザーとモデルナのワクチンの接種には、強い痛みと発熱を伴うことがあるという記事を掲載した。この記事によれば、接種者の2%弱が39度以上の高熱を生じている。

モデルナの臨床試験に参加した43歳の人は、接種部位が「ガチョウの卵」のサイズまで腫脹(しゅちょう)し、38・9度の発熱が起き、筋肉と骨が激しく痛んだという。この人は「一晩中電話の前に座り、救急車を呼ぶべきか迷った」そうだ。症状は12時間続いたという。

持病ある高齢者は接種すべき?

このような副反応が生じるのは、ファイザーとモデルナのワクチンには、mRNAを保護するために脂質ナノ粒子が用いられているためだ。この物質が強い炎症反応を引き起こす。

ここまでは短期的な安全性の問題だ。まれな合併症は十分には分からないといえども、これまでに公表された臨床試験のデータからある程度は推定できる。問題は、長期的な安全性だ。コロナワクチンは第3相臨床試験が始まってから3カ月程度しか経過していない。原理的に、長期的な安全性については評価できない。

ワクチンの長期的な合併症は女優の大原麗子さんが発症したことで知られる神経難病、ギラン・バレー症候群などの免疫異常が多い。このような免疫異常は、ウイルス感染が契機となって発症することがある。ジカ熱が流行した地域でギラン・バレー症候群などの症状が多発したと報告されている。これは、ウイルス感染細胞を認識したリンパ球が、神経細胞上に発現しているタンパク質をウイルス関連抗原と誤って攻撃してしまうからだ。

コロナ感染と自己免疫疾患の関係を議論した論文は多数存在する。私が米国立医学図書館データベース(PubMed)で「COVID-19」と「自己免疫(autoimmune)」という単語をタイトルに含む論文を検索したところ、102報がヒットした(2020年12月15日現在)。その中にはリウマチ性疾患、ギラン・バレー症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎などが報告されていた。

ワクチン接種が人為的に疑似感染を誘導する以上、このような自己免疫疾患を発生させるリスクはあるだろう。ワクチン接種に伴う免疫異常が顕在化するのは、接種から数カ月後が多い。リスクを評価するには、最低でも半年以上の観察期間が必要だ。ところが、現在開発中のワクチンで、このようなデータが出そろうのは、早くても今春以降だ。コロナワクチンの長期的安全性はまったく担保されていないのだ。個人の状況に応じて、ワクチンのメリットとデメリットを天秤にかけて判断するしかない。

私はもちろん接種する。それは、私が臨床医だからだ。どんな形であれ患者にうつすことは避けたい。効果の持続など不明な点が多いといえども、コロナワクチンは一定レベルの効果は証明されている。多少、リスクがあろうが、ワクチンを接種して、自らが感染することを予防しなければならない。

では、患者さんにはどうすることを勧めればいいだろうか。仮に80歳で高血圧・糖尿病の男性から相談を受けたとしよう。このような患者はコロナに感染した場合、致死率が高い。米国の一部の州で20年12月14日、ファイザーが開発したワクチンの接種が始まったが、米疾病対策センター(CDC)が作成中の指針では、エッセンシャルワーカーに次いで、重い持病を抱える人と65歳以上の高齢者を優先することが検討されている。

ただ、現状では、私は80歳の持病がある男性にワクチン接種を勧めない。なぜなら、高齢者は若年者ほどは効果が期待できず、一方で副反応が出たときに重症化しやすいからだ。

米臨床医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」は同年12月10日、ファイザーのワクチンの臨床試験に関する論文を公開している。これによると参加者に占める55歳以上の割合は42%で、ワクチンを打った後に彼らの51%が倦怠(けんたい)感、11%が発熱、39%が頭痛を訴えた。また、38%が鎮痛剤の内服を要したという。もし、80歳の高齢者に接種した場合、どのような反応が生じるか想像がつかない。

同様のことは、自己免疫疾患などの免疫異常を有する人にも当てはまる。コロナワクチンが自己免疫疾患を起こすリスクを否定できないのだから、持病を有するからといって、優先的にワクチンを打つべきか悩むところだ。

人種差も大きな問題となる。ファイザーの臨床試験では、アジア系の人の参加はわずかに1608人(4・3%)で、大部分は白人(3万1266人、82・9%)だった。アジア人での安全性が十分に検討されているとは言い難い。

こうした状況であれば、私は先行してワクチン接種を始めた米国や英国のデータを参照したい。日本でワクチン接種が始まるのは、早くて2021年の春以降だろう。それまでには相当数の経験が海外で蓄積されている。高齢者や持病を有する人、アジア系の人々における安全性と有効性についても臨床研究の結果が発表されているはずだ。日本ではどう対応すべきか、データに基づき柔軟に考えたい。

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