「『従軍慰安婦』は検定基準違反」つくる会 文科相に削除要望 山川出版教科書

萩生田光一文科相=18日午前、首相官邸(春名中撮影)
萩生田光一文科相=18日午前、首相官邸(春名中撮影)

 来年度から使用される中学校歴史教科書の一部で、平成16年度検定以降は使われていなかった「従軍慰安婦」の記述があることについて、「新しい歴史教科書をつくる会」(高池勝彦会長)などは18日、「検定基準に違反する」として、出版社側に記述削除を勧告するよう求める要望書を萩生田光一文部科学相あてに提出した。

 「従軍慰安婦」の記述があるのは、文科省による検定に合格した山川出版の歴史教科書。要望書を提出した同会と「慰安婦の真実国民運動」(加瀬英明代表)は、記述の問題点について、軍属として勤務した慰安婦は確認されておらず、「従軍」の用語を使うのは不適切であり、「(裏付けのない)強制連行というイメージと深く結びついて使われるようになった言葉」としている。

 さらに、文科省の検定基準は、教科書の記述内容を「閣議決定などで示された政府の統一的な見解」か、「最高裁の判例」に基づくことを求めていると指摘した。

 これまで政府は「(調査で)強制連行を直接指示するような記述も見当たらなかった」などとする見解を示してきたほか、11月には「従軍慰安婦」について書いた記事を「捏(ねつ)造(ぞう)」と指摘したジャーナリストの櫻井よしこ氏に対し、執筆者の元朝日新聞記者が損害賠償を求めた訴訟で、元記者側敗訴が最高裁で確定している。

 つくる会側はこうした状況を踏まえ、「(記述は)政府見解と最高裁判例の見地から極めて不当だ」と訴えた。

 つくる会の藤岡信勝副会長は同日の記者会見で「従軍慰安婦という言葉自体が(強制連行などの)観念と一体になっている。こういう用語は教科書にふさわしくない」と述べた。

 「従軍慰安婦」の記述をめぐっては、「いわゆる従軍慰安婦」という表現が登場した5年の河野洋平官房長官談話の後、7年度検定で全社が取り上げたものの、呼称に対する疑問や生徒の発達段階に配慮していないとの批判が噴出。16年度検定からしばらくは全社が慰安婦そのものを扱わなくなっていた。今回の山川出版の教科書は河野談話と同様「いわゆる従軍慰安婦」と記述している。

 文科省によると、河野談話以外で近年、政府が「従軍慰安婦」の表現を使う事例はないという。

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