新型コロナウイルスの収束が見通せない中、ウィズコロナ時代に合った新しい旅のスタイルに注目が集まっている。京都の寺社では、人数を大幅に制限し、普段は非公開の場所を僧侶や神職による解説付きで探訪したり、茶道や写経の体験などを楽しんだりするプライベートツアーが登場。1人あたり3千~1万円とやや値は張るが、家族や友人など限られた人たちだけで参加できるプレミアム感が受けているようだ。(田中幸美)
「この境内図はQRコードが付いているのが優れもの。3Dでお堂の中にも入れます」
世界遺産・仁和寺(京都市右京区)で僧侶に促されてスマートフォンをかざした東京都文京区の会社員、首藤(しゅとう)正浩さん(44)は「おー、すごいですね」と感嘆の声を上げた。案内役の同寺執行(しぎょう)、鴨井智峯(ちほう)さん(61)から3Dマップの動画と建物内部の映像を紹介された際の一場面だ。
首藤さんは一家4人で仁和寺の「特別プライベートツアー」に参加。ツアーは、案内役の僧侶とともに通常非公開の金堂(国宝)や五重塔(国重文)などを約2時間かけてまわる。1組2人(1人あたり3900円)から受け付けるが、1人(7800円)でも参加可能で、次世代支援のため高校生以下は無料だ。
一家は説明にうなずきながらモミジが真っ赤に色づいた広い境内を散策。首藤さんの長女で、小学5年の琉花(るか)さん(10)は、「建築物とか仏像とかもすごい」と目を輝かせ、首藤さんも「仁和寺には何回か来たことがあるが、普段見られないところを見て、貴重な話を聞かせてもらい大満足」と話した。
新しい参拝スタイル
5月下旬の緊急事態宣言解除後も参拝者が戻らない状況下で、コロナ禍に対応した参拝スタイルを模索していた仁和寺は、京都市観光協会と連携して、3密を避けつつ通常の拝観より特別感のあるプライベートツアーを企画。同協会はホームページ内に「事前予約で楽しむ京都旅」と称したコーナーを立ち上げた。