一歩ずつ

みんなが集える場所に 食堂開店から間もなく1年 西内学さん(62) 福島・浪江

店は貨車を改造したコンテナハウス。西内さんの明るさもおいしさに一役買っていそうだ=福島県浪江町(芹沢伸生撮影)
店は貨車を改造したコンテナハウス。西内さんの明るさもおいしさに一役買っていそうだ=福島県浪江町(芹沢伸生撮影)

 福島県浪江町の西内学さんは昨年12月、実家の敷地に食堂をオープン。開店から間もなく1年を迎える。食堂の主役はうどんだ。

 「味、ボリューム、値段…どれもが『自分も食べたい』と思えるものにしている。この感覚が大事」

 大学進学で上京し、卒業後は飲食関係の企業に就職。東京・青山で店長を務めるなどした。30代半ばに独立し、45歳で東京・蔵前に開いた居酒屋が大繁盛した。平成23年の東日本大震災発生時はランチ営業を終え賄いを食べていた。「結構、すごい揺れで、焼酎のビンが落ちて割れた」。実家に住む母親と義姉は無事だったが、東京電力福島第1原発事故で避難生活を余儀なくされ、今は仙台に住んでいる。

 浪江町には29年3月まで町内全域に避難指示が出ていた。ある時、墓参りの際に実家を見て思った。「草ぼうぼう。生まれた家がこれでいいのかと…」。寂しさがこみ上げた。ちょうどその頃は、東京で仕事に追われる日々にも疲れていた。

 古里での商売を決意し、一昨年10月に居酒屋を閉め、うどん店で修業を積んだ。今は妻と娘を東京に残して実家に単身赴任中。「今後は店の枠を越え、人が集まる場所にしたい」と笑った。(芹沢伸生、写真も)

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