デビューは昨年11月。今年4月に初戦から無傷の3連勝となる桜花賞(阪神1600メートル芝)を制し、続くオークス(東京2400メートル芝)では直線で進路が狭くなる不利をはね返した。10月の秋華賞(京都2000メートル芝)では単勝1・4倍の圧倒的な人気に応え、無敗での牝馬3冠という偉業を達成。「調教師や騎手などたくさんの人が苦労して手をかけた結果。神様からの贈り物だ」。長谷川さんはしみじみと語る。
小さな牧場発のシンデレラストーリーに、地元も沸く。3冠達成時は、日高町の大鷹千秋町長も牧場にお祝いに駆け付けた。長谷川さんは「町にとっても大きな力になった。親孝行な娘だ」と目を細める。
今年のジャパンカップは世紀の一戦といえる。牝馬3冠を含むGI8勝を挙げたアーモンドアイは、今回が引退レース。父のディープインパクトとともに父子2代で無敗の三冠馬となったコントレイルも頂点を狙う。三冠馬3頭が激突するのは中央競馬の歴史で初めてだ。
新型コロナウイルスの感染拡大で、スポーツやイベントが相次いで中止や延期を余儀なくされる中、日本中央競馬会(JRA)は約7カ月にわたって無観客開催を続けた。異例の一年を飾る「最強馬決定戦」を制するのはどの馬か。
長谷川さんは「たくさんの素晴らしい先輩と一緒にレースできる。胸を借りるつもりで頑張ってほしい」と期待を寄せた。
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ジャパンカップ 海外の強豪馬を日本に招き、世界に通用する馬を育成しようと、昭和56年に創設された日本初の国際GIレース。斤量(馬が背負う騎手や鞍(くら)などの重量)は年齢と性別によって定められ、3歳牝馬であるデアリングタクトは、コントレイル、アーモンドアイより2キロ軽い53キロで出走する。今年は節目の40回目を迎え、通算では外国馬14勝に対し、日本馬は25勝。1着賞金は有馬記念と並ぶ国内最高の3億円。