10月28日に千葉県北西部を震源とする最大震度3の地震があったが、揺れが大きかったのは、東京都の23区や多摩地方、神奈川県だった。震源が深い地震の場合、震源からの距離や建物の強度に関わらず、被害が出る例があるという。
28日の地震の規模はマグニチュード(M)4・3と推定され、震源の深さは約70キロ。東京都中央区や葛飾区、小平市のほか、横浜市北部で震度3を観測した。
夕刊フジで「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」(毎週木曜)を連載する武蔵野学院大の島村英紀特任教授は、「比較的震源が深いことで、プレートが潜り込むときにプレートに沿って揺れが伝わったのではないか。2005年にも千葉県北西部が震源の地震で東京都足立区で5強を観測した」と解説する。
東京湾では今年5月下旬に群発地震が発生するなど、不穏な動きもある。
立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授は「三浦半島南部や、房総半島南部、千葉県と東京都の境界付近に並行して断層がある。いずれも伊豆半島が載るフィリピン海プレートが、首都圏が載る北米プレートを圧縮して歪んで割れたものだと考えられる」と解説する。
首都直下地震もこれらの断層が一因となる可能性があるが、震源が深い場合、断層から離れた地域の建物にも被害が及ぶ恐れがあるという。
高橋氏はまた、「震源が深い地震による5秒周期の揺れは、頑丈な台地の建物も大きく振動させる。関東大震災では一戸建てよりも土蔵などが倒壊した。現代では鉄筋コンクリートの3~4階建て程度の中層建築への被害が大きい」と話す。
28日の地震で最大震度3を観測した多摩地方について、高橋氏は「地質調査が進んでおらず、調布市で道路が陥没するなど地盤も軟弱だ。1970代に建てられた一戸建てや中層建築も多く、高齢者など人的被害への注意も必要だ」と語った。