笠井信輔アナ、SNSに支えられた奮闘記「生きる力」18日発売

笠井信輔アナ
笠井信輔アナ

 悪性リンパ腫を克服した元フジテレビのフリーアナウンサー、笠井信輔(57)が、どん底からの奮闘記を書き上げた。「生きる力 引き算の縁と足し算の縁」(KADOKAWA 税抜き1400円)で、壮絶な闘病体験に加え、人生の困難を乗り越えるためのヒントもぎっしり。18日の発売を前に本紙のインタビューに応じ、「名前も顔も知らない人々との絆と力に励まされた」と感謝した。

 「がんは今、すっかり消えて、毎月1回の血液検査の結果も良好です」

 好奇心旺盛な少年のような目が戻ってきた。7月からテレビ出演や映画のイベント司会などに本格復帰。入院中に3キロ以上減った体重も、ベストの65キロ(身長は171センチ)に戻ったという。

 「でも、昨年10月のフリー転身前から腰や肩など全身を襲った痛みと、抗がん剤治療による激しい倦怠(けんたい)感や食欲不振は忘れません。髪の毛も一時すべて抜け、死の恐怖もよぎりました」と一瞬、顔を曇らせた。そのつらさは、4月末の退院後から書き始めた「生きる力」に克明に記した。

 最も力を入れて書いたのは、昨年12月からの入院を機に始めたブログやインスタグラムなどSNSでの交流。「僕のような血液のがん治療は、めざましい進歩をしている。だからこそステージ4も克服できた。加えて、SNSを通じ名前も顔も知らない人やがん患者さんからの激励に、どれほど生きる力と勇気をいただいたか。抗がん剤を幸願剤と言ってくれた人もいた」と語った。

 元来がメモ魔。入院中に書きためた膨大なメモやSNSが役立った。がん治療で免疫力が弱まっていたため、コロナ禍の中、自宅でセルフロックダウン。妻や息子たちと離れた自室に閉じ籠もって朝から晩まで執筆に全力集中、1カ月半ほどでイッキに296ページを書き下ろした。

 同書では東日本大震災などの報道経験も振り返り、人生の絶望から立ち直るヒントも網羅。「被災地ではボランティアや病院従事者との新たな縁を大切にした被災者が、復興の柱になっていった。いかに心のスイッチを切り替え、足し算の縁を大事にするかだと思います」という言葉に実感がこもる。

 死の恐怖を乗り越えた男の熱い思いは、広く共感を呼びそうだ。

★仕事など

 笠井は現在、CS放送フジテレビONEの映画情報番組「男おばさん!!」などメディアのレギュラー4本に出演。そのほか毎月5、6本のイベント司会をこなす。7日午前11時からは、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われる東京国際映画祭の予告編イベントのMCを務め、軽妙な映画紹介で盛り上げる。今後は講演などを通じて、がんに関する情報発信にも尽力。東日本大震災から10年を迎える来年は被災地を訪れ、現状や課題を取材する予定だ。

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