真っ赤な「チン電」走る 阪堺と筑鉄コラボ コロナ後の誘客狙う

真っ赤な「チン電」走る 阪堺と筑鉄コラボ コロナ後の誘客狙う
真っ赤な「チン電」走る 阪堺と筑鉄コラボ コロナ後の誘客狙う
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 大阪の街を真っ赤な、いつもとは違う表情の路面電車が駆け抜ける-。この秋、阪堺電気軌道(阪堺、大阪市)と、北九州市などを走る筑豊電気鉄道(筑鉄、福岡県中間市)が車両カラーを交換するコラボ企画を始める。利用者が減り苦境にあえぐ路面電車と地方鉄道。新型コロナウイルスの影響もあり、さらに厳しい運営を迫られる中、地域の足を支えるもの同士、タッグを組んで知名度と利用客アップを狙う。  

(小川恵理子)

誘客の起爆剤に

 今月末から、大阪市と堺市を結ぶ阪堺電車の路線に、現役車両としては国内最古となる阪堺の「モ161形車両」に、筑鉄の「赤電(あかでん)」と呼ばれ親しまれた車両の赤色を塗装した路面電車がお目見えする。

 「アフターコロナを見据えて、少しでもお互いのファンを増やしたい」

 9月に開かれた車両お披露目式で、阪堺の細井康史社長は声を張り上げた。コラボ企画は阪堺側が今年はじめに提案。両沿線にはそれぞれ「百舌鳥(もず)・古市古墳群」と「明治日本の産業革命遺産」を構成する世界遺産があるという共通点もあり、お互い沿線でPR活動しやすいと考えている。

 赤電カラーの車両は10月から3年間、堺市内などを走り、期間中には北九州の名産品を食べられる貸し切り電車も走らせる。来年度は阪堺カラーの筑鉄車両が北九州市内などを運行する予定だ。阪堺の担当者は「大阪-北九州間は直通フェリーもあってアクセスもしやすい。交通手段としてだけでなく、乗ることも目的にそれぞれの地に訪れてもらえれば」とコロナ後の誘客をしたたかに狙う。

知名度向上の起爆剤に

 筑鉄もコラボ企画を知名度向上の起爆剤にしたい考えだ。落ち着いた赤色と中央の黄色いラインが印象的な赤電はもともと、筑鉄の親会社・西日本鉄道(福岡市)が平成12年まで北九州市内などで運行していた路面電車の愛称。廃線後に一部路線を引き継いだ筑鉄の車両として、18年まで活躍した。

 路面電車廃線から20年という節目の今年、筑鉄の路線で赤電カラーを復活させたが、担当者は「当時の車両と新たにカラーリングを施した筑鉄では形状が異なり、忠実には再現できなかった」と心残りを明かす。

 そのタイミングで進んだ阪堺側との企画。阪堺の車両に塗装された姿を見た担当者は「かつて北九州を走っていた車両に形が似ていて、離れた大阪で赤電が復活したと鉄道ファンも喜んでくれるだろう」と手応えを感じている。

地域の誇りとして

 全国の路面電車や地方鉄道は利用者の減少などで苦境に立たされている。

 阪堺でも、30年度の1日平均乗降客数が2万2465人だったのが、令和元年度には2万2050人に減った。さらに今年9月、これまで堺市から10年間にわたって受けてきた総額50億円の財政支援が終了。路線存続に向けて正念場を迎えており、10月からは運賃も値上げしている。

 筑鉄も昨年度の利用者が平成元年度の約3割の400万人にとどまり、売り上げも8億円と同年度比の約5割と歯止めがかからない。そのうえコロナ禍の影響を最も強く受けた今年4月は利用者数は前年比5割減にまで落ち込んだ。

 筑鉄の永尾亮二社長は「人とまち、人と人を結び地域の発展に尽力してきた」と路線の意義を自負する。今回のコラボには「北九州以外では親しみのない路線だが、沿線住民にはより愛されるように、これまで知らなかった人には新たに興味を持ってもらえるようになれば」と期待、「沿線活性化への呼び水としたい」と話している。

 厳しい経営状況の中で、各地の地方鉄道や路面電車が、路線存続のために観光客を意識した企画に取り組んでいる。

 成功例で知られるのは和歌山電鉄(和歌山市)が猫駅長の「たま」を主役にしたPRで、海外からも利用客が訪れるブームに。また、水間(みずま)鉄道(大阪府貝塚市)は運転体験ができる企画を行い、岡山電気軌道(岡山市)では鉄道アニメ「チャギントン」のキャラクターを模した車両を走らせるなどして人気を集める。

 堺市などでつくる「堺市阪堺線活性化推進懇話会」の座長を務めた塚本直幸・大阪産業大元教授は、地方の中小私鉄や路面電車事業者について「公共交通を名乗る企業として地域の足を支えているという矜持がある。そのうえで今は、経営上、観光需要に頼らざるを得ないのが現状」と指摘する。ただ、こういった観光客をターゲットにした企画は「沿線の人へのアピールにもつながる」と話し、路線存続には取り組みの継続が必要としている。

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