小林秀雄賞贈呈式 與那覇潤さん「受賞したのは『対話』」

第19回小林秀雄賞受賞者の與那覇潤さん(左)、斎藤環さん
第19回小林秀雄賞受賞者の與那覇潤さん(左)、斎藤環さん

「対談でこの賞をいただくことはあまり例がない。そのこと自体に価値があると思います」。9日に東京都内で行われた小林秀雄賞贈呈式(新潮文芸振興会主催)で、挨拶に立った受賞者の歴史学者、與那覇潤(よなは・じゅん)さんはそう感慨を述べた。

評論やエッセー、哲学など、多様なジャンルの人文書を対象とする同賞。今年の受賞作『心を病んだらいけないの? うつ病社会の処方箋』(新潮選書)は、重度の鬱を経験した與那覇さんと、「ヤンキー」論などで知られる精神科医の斎藤環さんとの対談で、鬱病や発達障害などの心の病を主要な切り口に、平成期の日本社会を読み解く。選考委員の國分功一郎・東京大准教授は「1章がそれぞれ1冊になってもおかしくないほど密度の濃い議論が詰まっており、平成史にもなっている」と称賛した。

受賞作のもう一つのテーマが、たとえ相手の主張に同意することができなくても、共感することで存在を承認するという対話そのものが持つ人間の心を安定させる力だ。もう一人の受賞者の斎藤さんは「どこに連れていかれるかわからないのが対話で、そうした不確実性への耐性が、人をある種の健康さに導く鍵。その対話の精神に基づいて生まれた本が受賞したことはうれしい」と喜びを述べると、與那覇さんもそれを受け、「コロナ禍で最も抑圧されてしまった営みは人と人との対話で、受賞はそれに抗するメッセージではないか。今回、対話という試み自体が受賞したのだと思います」と結び、会場は温かい拍手に包まれた。(磨井慎吾)

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