別の高官は「米中がデカップリング(=分離、切り離し)へと向かっているかは、中国が両国間の制度的・イデオロギー的な相違に立ち向かえるかどうかが鍵であり、米国はもはや利益のために価値を犠牲にはしない」と語った。
中国が新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)や、知的財産の収奪、ウイグルや香港での人権侵害を引き起こしながら、軍事的覇権を強めていることへの米国の怒りは、「大使引き上げ」という次元に発展しつつある。
マイク・ポンペオ米国務長官は、ブランスタッド大使を「米中関係のバランスを取り、結果を重視し、対等、公平性に一層の注意を払った。これはアジア太平洋地域における米国の外交政策に、今後数十年の永続的かつ肯定的な影響を与える」と、自身のツイッターでねぎらったうえで、中国共産党政府を次のように非難した。
「中共はプロパガンダ(宣伝)機関の偽善者であり、『思想の自由』を恐れた」
確かに、中国の崔天凱駐米大使は、米国のニュース番組や出版物に定期的に登場して自国の宣伝を続けているが、ブランスタッド大使が中国のSNS(微博やWeChatなど)に投稿した、「無修正の議論と無制限の相互作用を通じて2国間関係を構築していく」といった文章は、中共が検閲して削除された。
これでは、対等な二国間関係は築けない。
米中関係の専門家である、アジア協会米中関係センターのオービル・シェル所長は「米中関係の悪化の、主な責任は習主席にある。過去8人の米大統領に支持されてきたカップリング政策は、2国間関係を安定させてきたが、南シナ海や台湾海峡、香港、新疆ウイグル自治区、東シナ海における中共軍の積極的な行動が本質的に窒息させた」「習主席は『中国を大きな危険にさらした支配者』として歴史に残る可能性がある」と、前出のVOAに語った。