マスク着用を拒否した乗客が旅客機から降ろされる事態が相次ぎ、大臣まで言及する騒ぎになった。乗客側にもそれぞれ言い分はあるが、公共交通機関の遅延などが生じた場合、刑事や民事で責任を問われる恐れもあるという。
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赤羽一嘉国土交通相は15日の閣議後記者会見で、「トラブルを最小限にするため、航空会社は搭乗前にマスク着用の有無の確認や、着用できない理由の聴取などを徹底してほしい」と述べた。
奥尻発函館行きの北海道エアシステム(HAC)機内で12日正午ごろ、出発前に乗客の男性がマスク着用の要請に応じず、機長が航空法の安全阻害行為にあたると判断し、男性を降ろした。出発は定刻より30分遅れとなった。乗客とみられる男性はツイッターで、アレルギー体質でマスクを着用すると呼吸が苦しくなると説明した。
HACの広報担当者は「乗客が客室乗務員の指示に従わないため、有事の際に機内の安全を確保できない恐れがあると判断した」とし、男性と話し合いや対応を協議する予定は現状ないという。
7日にピーチ・アビエーション機内で発生した乗客のマスク着用拒否を発端としたトラブルでは、出発予定時刻が約45分遅れたほか、乗客の男性を降ろすため新潟空港に臨時着陸するなど到着予定時刻にも大幅な遅れが生じた。ピーチの広報担当者は「男性への法的措置などあらゆる可能性を視野に協議を続けている」としている。