【ABS世代が「シニア」を変える】
「幸せになりたい」という欲求はみんなにありますが、幸福学の第一人者、慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司教授は、「長続きしない幸せと、長続きする幸せ」があるといいます。
長続きしないのは、「金、モノ、地位」など、他人と比較できる「地位財」による幸せです。一方、「健康であり、環境に恵まれている」など、心の要因から得られる「非地位財」による幸せは、長続きするそうです。
前野さんは因子分析によって、心の要因による幸せを「自己実現と成長」「つながりと感謝」「前向きと楽観」「独立とマイペース」という4つに分類しました。今回は私(鈴木)の経験を当てはめて考えてみたいと思います。
1つ目の「自己実現と成長」は、夢や目標、やりがいを持ち、それらを実現しようと成長していくことです。私はもともとテレビが好きで中小の広告代理店に入りましたが、営業マン時代の目標といえば、漠然と大手の会社に転職して給料を上げたいという程度でした。
そんな私の仕事や人生に影響を与えたのは、ある先輩からの学びでした。自分で企画書を作成し、それを形にする楽しさを30代で覚え、企画力や人脈を磨き、37歳でフリーランスになりました。
変化の激しい仕事柄、48歳から55歳の頃は自身の「賞味期限」を感じ、暗中模索の日々でした。しかし、時代が変わっても人間のコミュニケーションの本質は変わらないと確信。同時に、趣味のディスコ通いを機にABS世代の存在に気づき、60歳以降の自分の具体的な目標を見つけました。「捨て身になり、年齢で諦めなかった」からだと思います。