東京消防庁は9日から、119番通報者にスマートフォンでけが人や病人を撮影して映像を送信してもらう新システム「Live(ライブ)119」を試験導入する。救急隊の到着前に要救助者や現場の状況を正確に把握することに加え、通報者に正しい応急手当てを指導して救命率の向上につなげたい狙いだ。
Live119は、通報者のスマホに送信されたURLにアクセスするとビデオ通話に切り替わり、負傷者や現場の映像を伝送できるシステムで、神戸市消防局などですでに本格運用されている。東京消防庁の試験導入では東京23区内での通報を対象とし、指令管制員が応急手当てが必要と判断した場合に、通報者の同意を得てシステムを活用する。
今月4日に行われた訓練では、男性が自宅で意識を失って倒れ、家族が協力して手当てをする場面を想定。心臓マッサージをする様子をモニターで確認した指令管制員は、「もう少し早いテンポでいいです。強く絶え間なく押し続けて」とアドバイスを送っていた。
同庁によると、現行の会話のみの119番通報では、要救助者が飲酒による酩酊(めいてい)状態なのか、迅速な蘇生措置が必要な心肺停止状態なのかの判断がつきにくいケースもあるという。担当者は「Live119を活用して積極的に応急手当てをしてもらいたい」と話している。