【食と健康 ホントの話】
生活習慣病の1つと言われる、2型糖尿病。実際には、複数の遺伝素因が基盤にある人に、運動不足・過食などの生活習慣等による環境要因が加わると発症するというのが、現在の定説だ。
そのため2型糖尿病の患者にとって、食事、運動を含めた生活習慣の是正が重要である。
また、健診等で糖尿病一歩手前、予備群と指摘された人にとっても他人事ではない。糖尿病発症や、合併症の中でも発症以前からリスクが上がることがわかってきた心血管イベント(心筋梗塞や脳梗塞など)を防ぐためには、生活習慣の是正はぜひ取り組んでほしいことだ。
生活習慣の中で、どのようなことが糖尿病の進展に影響するのか、そしてどのようなことが合併症の併発に影響するのか。順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学の三田智也准教授=顔写真、綿田裕孝教授らの研究グループは、「朝食の欠食」が2型糖尿病患者の血管硬化に悪影響を与えることを明らかにした。
この研究は、世界的権威のある英国の医学専門誌「BMJ open Diabetes Research & Care」に今年2月掲載された。また先日開催された「第52回日本動脈硬化学会総会・学術集会」で発表されたので、紹介したい。
糖尿病の恐ろしさは、血管がもろくなるために起こるさまざまな合併症にある。特に、死に直結する心血管イベント発症の増加リスクは下げたいものだ。そのため糖尿病の治療では、血糖コントロールだけでなく、血管の硬化を予防し、それ以上進まないように維持することを目標としている。