埼玉県の大野元裕知事は27日、今月31日で就任から1年を迎えるのを前に産経新聞のインタビューに応じた。新型コロナウイルスの感染拡大長期化や首都圏での豪雨災害多発を踏まえ、隣接する東京都との連携強化を加速する姿勢を強調した。
大野知事は、新型コロナ対応で懸案となっている病床確保に関して東京都の小池百合子知事と意見交換した際、必要な場合は県と都で病床を提供し合うことで一致したと明らかにした。
また、県内から都内に通う「埼玉都民」が多い状況を考慮し、大規模災害時に都内で帰宅困難となった県民の待避策に関しても都との協力体制構築を急ぐ考えを示した。小池知事との間で「協力できる余地があるという共通の理解に達している」との認識も示した。
大野知事は昨年8月の知事選で、立憲民主、国民民主、共産、社民の4野党の支援を受け、与党推薦候補らを抑え初当選した。
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■大野知事一問一答「ワクチン接種、市町村を支援」
--新型コロナウイルスの感染拡大防止に最優先で取り組んでいる
「県は人口あたりのベッド数や医師数が脆弱(ぜいじゃく)だ。しっかりした予測と積み上がってきた知見をもとに戦略的に対応する必要がある。検査体制を強化して早期に患者の状態を把握し、医療機関の負担も可能な限り軽減するといった対応を心掛けている」
--感染拡大防止と経済活性化は両立できているか
「人に会い、外に出て、事業をやっても感染しない仕組みを作ることが大切だ。感染対策を徹底している店舗の認定制度をいち早く実施し、県内経済強化を図る『戦略会議』の提言で人材マッチングの制度なども作った。バス事業者など現段階で傷ついている業界にはしっかり配慮したい」
--今後の方向性は
「可能な限り万全な体制を敷く。ワクチン接種は市町村の仕事だが、その体力には限界があるので県として支援する」
--他にも、豚熱(CSF)や台風19号など危機管理に追われた1年間だった
「県庁は非常に良い『ワンチーム』の体制を作ってくれた。ただ、県には実動部隊がない。米国の連邦緊急事態管理庁(FEMA)のような組織のある体制を作りたい」
--東京都との連携は
「人の往来など都とは密接な関係にある。新型コロナウイルス感染者の病床確保に関し、小池百合子知事と『必要な場合は協力し合う』と話している」
--立憲民主、国民民主両党の合流新党が発足し、参加しない議員による別の新党も結成される見通しだ
「今回の野党の動きが国民に選択肢を提供するようなものになってほしい。今まで(自民党以外の有力な)選択肢が実質的になかったので、そうした方向に向かうことは正しい」
--2年目にどう臨むか
「現在進行形で新型コロナウイルス対策がある。仮に早期に収束しても経済などを含め影響は続く。とにかく対策に万全を尽くす」
(中村智隆、竹之内秀介)