コロナ後遺症2000人調査へ 呼吸機能低下 イタリア「患者の3割」

重症化メカニズム、徐々に解明

 後遺症のリスクを伴う重症化のメカニズムも、徐々に明らかとなりつつある。

 新型コロナは発熱やせきの症状だけでなく、呼吸不全、腎臓や肝臓の障害のほか、脳梗塞など多様な症状を引き起こす恐れがある。その原因の一つとされるのは、ウイルスが血管の内壁の細胞を傷つけ、炎症が起きることで生じる血栓(血の塊)の形成だ。血流が止まり、臓器の機能低下につながる。

 もう一つが、「サイトカインストーム」(免疫の暴走)と呼ばれる現象だ。ウイルスを排除しようと働く免疫機能が突如暴走し、血管や臓器を傷つけてしまうことがある。サイトカインストームが起きると、体内で血栓ができやすい状態になるともいわれる。

 「新型コロナにはまだ特効薬がなく、患者は自身の免疫力による闘いを強いられる。重症患者に深刻な影響を及ぼす後遺症が出るのは、闘病生活が長くなることが影響していると考えられる」と讃井氏はいう。

「血栓のリスク」注意を

 症状が軽症であっても油断できない。日本血栓止血学会前理事で浜松医科大の浦野哲盟(てつめい)教授(医生理学)は「浴室で亡くなった人や旅行中に倒れた人のPCR検査をしたら、陽性反応が出たとの報告が国内外である。重篤な症状ではなかったのに突然死するといったケースは血栓が影響し、脳梗塞や心筋梗塞、肺血栓塞栓(そくせん)症を起こした可能性も考えられる」と指摘する。

 厚生労働省は5月に改訂した新型コロナの「診療の手引き」で、体内で血栓ができているかの指標となる「Dダイマー」の数値が正常値を超えていれば、抗凝固薬による血栓症予防療法の実施を推奨している。

 浦野氏は「患者の症状が軽くても、Dダイマー値が高ければ入院を考える必要がある」と説明。脳梗塞や心筋梗塞などの既往歴がある人は感染で血栓ができるリスクも高いといい、「患者は医師に、治療状況などの情報を知らせることも重要となる」と話している。(三宅陽子)

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