「Be Water」国安法強行の最前線で闘志を燃やす香港の若者たちへ(1/2ページ) - イザ!

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「Be Water」国安法強行の最前線で闘志を燃やす香港の若者たちへ

「離れなければ射撃する」などと警告する旗をデモに向けて掲げる香港の警察=2020年7月1日、香港の湾仔(現地香港人ジャーナリスト提供)
「離れなければ射撃する」などと警告する旗をデモに向けて掲げる香港の警察=2020年7月1日、香港の湾仔(現地香港人ジャーナリスト提供)

※オピニオンサイト「iRONNA」に掲載された論考です。肩書などは当時のものです。

小川善照(ジャーナリスト)

6月30日、その具体的な内容が明らかにならないうちから「香港国家安全維持法」(国安法)は、香港社会を確実に締めつけ、萎縮させた。「分離独立行為」「反政府活動」「組織的なテロ行為」「外国勢力による干渉」などの行為だけでなく、そうした言論も含めて禁止とされ、重大犯罪の処罰は最低でも懲役10年となることが香港の民主派の間に伝えられたのである。

日本人にもなじみ深い、周庭(アグネス・チョウ)が所属する政治団体「香港衆志」(デモシスト)では、周と幹部であった黄之鋒(ジョシュア・ウォン)、羅冠聡(ネイサン・ロー)の3人が相次いで脱退を宣言した。その数時間後、3人の離脱を受け、今後の運営が困難だとして、香港衆志は解散を決定した。時を同じくして、香港独立などを主張する団体も香港内での活動を停止し、次々と解散することを表明した。

翌7月1日は香港の返還記念日である。この日は例年、民主派団体による大規模なデモが行われるが、今年、警察は新型コロナウイルス対策を持ち出し、デモ自体を不許可としていた。

この7月1日を新たな「香港の自由を奪われた日」として記憶させないためであろう。香港時間23時という、ぎりぎり6月30日である時間に、全容が明らかにされないまま国安法は施行された。香港行政長官の林鄭月娥(キャリー・ラム)でさえ十分に内容を知らない法律が、一国二制度を完全に崩壊させたのだ。

7月1日、それでも抗議の声をあげるため、香港の街角には1万人以上の市民が集まった。昨年6月9日の反政府デモに集まったという103万人にはほど遠い数である。国安法の影響は明らかだった。

「国安法違反になると、(重大犯罪の場合)最低でも懲役10年。最高は終身刑です。しかも、香港での裁判ではなく、中国に送られてしまう。恐怖しかありません。それでも多くの市民が抗議の声をあげました」(現地の香港人ジャーナリスト)

悲壮な覚悟のデモ隊に対して、それを取り締まる側の警察は、余裕の表情すら見せていたという。

「警官隊はいつにも増して強権的でした。悔しいですが、昨年来の市民との闘いに勝利したような、嘲笑的な表情を見せていました」(同)

もともと、昨年のデモはインターネットなどで呼びかけられ、主催者がいない状態で、警察に違法集会とされても、自然発生的に市民が集まっていたものだ。だが、施行後は、明らかにこれまでと違った暗い雰囲気だった。

結局、約370人が違法集会などの容疑で逮捕され、少なくとも10人が施行後、初の国安法違反として逮捕されたという。

グループの一部が過激化

昨年、香港デモをリードしていたのは、黒ずくめの格好の「勇武(武闘)派」と呼ばれる若者たちだ。警官隊と衝突して、時には火炎瓶さえ使用する彼らは、7月1日のデモの現場にも登場した。国安法が施行されたというのに、「光復香港 時代革命」(香港を取り戻せ、時代の革命だ)などの逮捕の可能性があるスローガンの旗を掲げていた。

あくまで闘い続けるという意思表示なのだろう。そんな彼らに対して、懸念すべき動きがある。昨年11月、香港中文大に籠城し、警官隊と激しくぶつかったときのことだ。

「中文大に籠城したとき、化学の実験室にある薬品を使って、強力な爆薬を作ろうという私たち学外から参加した抗議者と、それを拒否した中文大の学生の間で対立がありました。結局、できませんでしたが」

大学外から参加した勇武派の女性抗議者にインタビューした際の証言だ。外見上は黒ずくめで火炎瓶を投げるなど、見分けがつかない勇武派のデモ参加者だが、実力行使に対する考え方は、それぞれかなり違う部分があった。火炎瓶レベルではない、より強力な武器や爆弾などを求める勇武派グループが確かに存在していたのだ。

この後、彼女とは接触ができなくなった。紹介者から春先に聞いた、その後の彼女の消息に私は言葉を失った。

「参加していたグループは完全に地下活動を行う方針となり、内部で自爆テロの実行者を募っていたのです。それに彼女は志願したと聞いています」

昨年来、爆発物製造の疑いで抗議者が香港警察に摘発されたと何度か報道されていたのだが、具体的な証拠に乏しいものが多かった。だが、勇武派の一部はそうした爆弾闘争さえ、現在視野に入れているのだ。もともと、高度な技術でメッセージを暗号化する「テレグラム」などの通信アプリを使って、お互いの素性さえ明らかにせず抗議活動をしていた。今後、より強力な武器を持って一部の勇武派が地下活動に移行するのは、悲しいことであるが、必然の流れかもしれない。

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