岡山・真備で被災のビール醸造所 コロナ禍危機の先輩救う支援プロジェクト始動

西日本豪雨当時の「真備竹林麦酒」の製造工場。プラントも泥水に巻き込まれた
西日本豪雨当時の「真備竹林麦酒」の製造工場。プラントも泥水に巻き込まれた

 平成30年7月の西日本豪雨で多くの犠牲者が出た岡山県倉敷市真備(まび)町地区で被災したクラフトビール醸造所が、新型コロナウイルスの影響で倒産の危機にひんする先輩醸造所を支援するプロジェクトを立ち上げた。コロナ禍で全国的にビールの消費量は低下しており、自分たちも苦しい状況だが、運営するNPO法人「岡山マインド こころ」代表の多田伸志さん(60)は、「たくさんの恩に報いたい」と力を込める。(尾崎豪一)

 精神障害者の就労支援を目指し14年に設立された「こころ」は、町内で精神障害者のグループホームなどを運営。23年には「吉備土手下麦酒(きびどてしたばくしゅ)醸造所」(岡山市北区)の永原敬(さとし)さん(61)の技術指導のもと、同町箭田(やた)にクラフトビール醸造所「真備竹林麦酒(まびちくりんばくしゅ)醸造所」を設立した。フルーティーで飲みやすい「ささ」や、苦みが強く味わい深い「たけ」など、オリジナルのビールは評判で、地元住民から愛されてきた。

 穀物の栽培から製造までを全て岡山で行う「完全岡山県産ビール」づくりを計画し、準備を進めていたところ、豪雨が醸造所を襲った。醸造所や製造工場など、すべてが壊滅状態。「何もかもドロドロでぐしゃぐしゃ。『とにかく片付けるしかない』と、ほかに物事を考える余裕がなかった」と多田さんは振り返る。

 そんなとき、真っ先に応援に駆けつけてくれたのが永原さんだった。真備の醸造所のタンク内には800リットルのビールが奇跡的に無傷で残っており、永原さんが各地の醸造所に呼び掛けて集めた約500万円の資金をもとに復旧作業を進め、翌8月には製造を再開。月1回は地元住民とビールを飲んで交流する取り組みも始まり、地元の復興にも一役買ってきた。

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