静岡県吉田町川尻にある家庭用品メーカー「レック」(東京都)の静岡第二工場が5日未明に出火し、警察官ら4人の遺体が見つかった火災を受け、レックは7日、県庁で記者会見した。会見に同席した工場の男性従業員が工場1階から突然、爆発音とともに大量の煙が発生した当時の状況を明らかにした。
同社によると、2階建ての工場の1階は家庭用洗剤などを袋詰めする工場と、洗濯槽洗剤などの原料や商品を保管する倉庫に分かれている。警報を受けて駆け付けた警備会社員が5日午前1時半ごろ、工場と倉庫を隔てる防火シャッターが閉まり始める中、「向こう(工場側)から煙が来るので慌てて逃げた」と証言している。
警備会社から連絡を受けた工場の男性従業員は午前2時2分に到着。消防隊員からシャッターを開けるよう求められたが、開け方が分からず、代わりに屋外から工場の避難口を開けようとした際、工場内からバチバチという異音が聞こえ、熱気も感じた。危険を察知して避難口を離れた直後、「バーン」という爆発音とともに大量の煙が噴き出し、燃え広がった。
男性従業員は倉庫1階側から消防隊員が退避する様子を目撃した。だが、火元を確認するため、2階に上がった警察官1人と消防隊員とされる3人は退避できなかったとみられ、遺体で見つかった。
この日会見した青木光男会長ら同社幹部は、4人が犠牲になった火災について謝罪した。出火当時、工場で保管していた原料は危険物に該当せず、出火原因とは想定できないと説明した。その上で火勢が急速に広がった原因は、新鮮な空気が入ることで爆発が起きるバックドラフト現象などが想定されるとした。
同じ工場で2年前に起きた火災の原因と推定される混合物の原料については、その後、使用していないという。