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西日本豪雨で多くの犠牲者が出た岡山県倉敷市真備町地区では今春、地元コミュニティーFMの中継局が開設された。当時、同町の一部で避難指示などを優先的に放送する「緊急告知ラジオ」が届かなかった反省から、市や国にも働きかけて実現。ただ、小さな町での運用は費用面に課題があり、防災や生活情報を伝える「生活インフラ」としてのラジオをどう維持すべきか、行政も一体となっての対応が求められている。(尾崎豪一)
中継局を新たに整備したのは、平成8年開局の同市のコミュニティーFM局「エフエムくらしき」。以前から防災に関する意識は高く、新潟県中越地震を機に17年、災害発生と同時に電源が入り、大音量で災害情報を伝える「緊急告知FMラジオ『こくっち』」を、全国に先駆けて開発。FMラジオかケーブルテレビ回線があれば割り込み放送で緊急情報発信ができるもので、地元・倉敷市で5千台以上、全国でも25万台以上が利用されている。
西日本豪雨の際は、緊急告知に加えて特別番組も放送。専門家がリスナーの質問に答えるコーナーを設けるなどして被災者支援に取り組んだが、電波が届く範囲は旧真備町が合併する前の倉敷市が想定されていたこともあり、被害が大きかった真備町地区には豪雨発生時、計9回流した緊急告知が十分に届かなかったという。