ダッグアウトの裏側

唾吐き、指なめ禁止は「途方もない挑戦」 米大リーグ、コロナ禍マニュアル順守の難しさ

 米大リーグが心配だ。米国では6月末、1日あたりの新型コロナの感染者数が連日のように4万人を突破。検査の陽性率も一部の地域では25%に達しているという。日本より感染リスクが格段に高い中で開幕を迎えようとしている。

 先週の当欄で「不参加の選手が出るという憶測もある」と書いた通りの事態になっている。すでにダイヤモンドバックスのマイク・リーク投手(27)らが出場辞退を表明。通算105勝の右腕は約6億円の年俸を放棄する。高齢の両親や病人と一緒に住んでいる選手は不安だろう。

 米メディアによれば、大リーグ機構は100ページ以上の安全マニュアルを作成して、各球団に配布した。飛沫感染防止のため、唾だけでなく、ベンチやグラウンドで噛んだヒマワリの種を吐くのも禁止。クラブハウス内や宿泊先での行動にも制限が設けられた。

 唾を吐いている姿や汚れているベンチを見ずに済むのは歓迎だが、マニュアル順守は容易ではない。打席で唾を吐いたり、マウンド上で指先をなめたりするのを、ルーティンにしている選手がいるからだ。

 「オレは100%、唾を吐く。ガムを噛んでいてもいなくても唾を吐く。プレーにしみ込んでいるんだ」とはロッキーズのチャーリー・ブラックモン外野手(34)。2017年のナ・リーグ首位打者は約1カ月前、スポーツ・イラストレイテッド誌の取材に公言した。05年に巨人でプレーしたジャイアンツのゲーブ・キャプラー監督(44)も、唾吐き禁止を「途方もない挑戦」とたとえている。

 注意していても、いつもの癖で唾を吐いてしまうこともあるだろう。打席で吐けば、飛沫を浴びるのは相手捕手。捕手用マスクの下にフェイスシールドを着ける選手が現れるかもしれない。

 唾吐きをきっかけに乱闘が起きても不思議ではない。それほど米国のコロナ禍は深刻だ。

■田代 学(たしろ・まなぶ) サンケイスポーツ編集局次長。1991年入社。プロ野球や五輪担当などを経て、2001年から13年11月まで米国駐在の大リーグ担当キャップ。全米野球記者協会の理事や、13年ワールドシリーズの公式記録員を日本人記者で初めて務めた。米国での愛称は「ガク」。

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