選挙報道と報道・論評の自由 「自己規制」は世の中のためになっていないのではないか?

首都・東京のリーダーを決める都知事選
首都・東京のリーダーを決める都知事選

 【ニッポン放送・飯田浩司のそこまで言うか!】

 「東京都知事選挙が告示され、22人が立候補しました。小池都政への評価や新型コロナウイルス対策などを争点に、17日間の選挙戦が始まりました」

 これは、よくあるニュース原稿の書き出しで、私も何度となく読みました。一般的に、選挙期間中は政治や政策への関心が高まる時期ですから、この書き出しから個別具体的な政策について議論していけばいいのですが、放送局はここで立ち止まるのです。「すべての候補を公平に扱わなければ、公選法に違反するのではないか?」と。

 長年の経験から、政策一つとってもすべての候補者を公平に紹介したり、同じ質問を各候補者に振ったり、あるいは厳密に発言時間を管理したりしなければいけない-と思い込んでいるスタッフも少なくありません。

 あるいは、各方面からの批判を恐れ、選挙期間中だから政治の話を扱うのはやめよう。候補者の名前を出すと全員言わなくてはいけなくなるから出さないようにしよう。政策の話をしても特定の候補者に有利不利が生まれるから、やっぱり政治の話はしない方がよさそうだと思う人もいます。

 その結果もあるのか、このところは選挙を経るごとに、扱う放送時間が減っているようです。在京テレビ6局の昨年の参院選の総放送時間は36時間8分と、2016年の41時間半から5時間以上減ってしまっています(エム・データ社調べ)。

 ですが、こうした自己規制は世の中のためになっていないのではないか? そう思うのは私だけではなく、BPO(放送倫理・番組向上機構)放送倫理検証委員会は選挙報道について何度も委員会決定を出しています。16年の第25号決定では、公選法の規定を引きながら放送局には選挙に関する報道と評論をする自由があるとしています。

 拙著『「反権力」は正義ですか ラジオニュースの現場から』(新潮新書)でも触れましたが、「選挙に関して事実の報道とこれを論議し批判する評論が自由であれば、その性質上、ある候補者に有利もしくは不利に影響することはありうるし、そのような結果は避け難い。政策を検証して評論すると、ある政党の政策を批判し、逆にある政党の政策を評価する結果になることもある。(中略)しかし、これらは、選挙に関する報道と評論の自由が保障されている以上は、当然に生じる結果である。したがって、そのような放送を取り上げて『政治的に公平でない』という批判があれば、それは選挙に関する番組編集の自由についての理解を欠いたものと言うほかない」としています。

 詳しくは、BPOのホームページに全文が載っていますのでそちらに譲りますが、私が担当している平日朝6時からの番組「OK! Cozy up!」でも、7月5日の投票日まで健全な政策の吟味を行っていきます。

 ■飯田浩司(いいだ・こうじ) 1981年、神奈川県生まれ。2004年、横浜国立大学卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。ニュース番組のパーソナリティーとして、政治・経済から国際問題まで取材する。現在、「飯田浩司のOK!COZY UP!」(月~金曜朝6-8時)を担当。趣味は野球観戦(阪神ファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書など。

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