災いや疫病退散に御利益があるとされる「赤絵」が、大阪市中央区の大阪城天守閣などで無料配布されている。新型コロナウイルス感染症の収束を願って同天守閣が5万枚作製。1階のインフォメーションカウンターをはじめ大阪城公園内の施設や店舗に置かれている。
古来、赤い色は災いや魔物を追い払ったり、流行病から身を守ったりという効果があるとされる。江戸時代には、疱瘡(ほうそう=天然痘)よけとして、魔よけの神とされる鍾馗(しょうき)などの図柄を赤一色で刷った版画がつくられたという。
さらに、国内では幕末、コレラが大流行。コレラは当時、コロリと呼ばれ、その致死率の高さを猛獣にたとえて「虎狼痢」や「虎狼狸」などの漢字があてられた。その虎の文字から連想されたと考えられる「コレラよけ」として、トラの張り子やトラを描いた絵馬などが作られた歴史がある。
大阪城天守閣の「赤絵」は、こうした歴史的背景を踏まえて作製。天守閣と天守閣最上層外壁に描かれた伏虎(ふくこ)をあしらったデザインを赤一色で印刷し、コロナ禍収束の願いを込めたという。