産業医シンコ先生に聞く テレワークに潜む危機
日本企業は良かれ悪しかれ、集団で物事を動かし、社員を平等に扱ってきた。新型コロナウイルス感染症への対応でテレワーク(在宅勤務)に移行した途端、そうした恩恵にあずかれず、窮地に陥る人が急増中だ。
産業医、シンコ先生(矢島新子)は「平常勤務のときに、お祭りのおみこしを担いでいるふりをしていたような社員があぶりだされている」と表現する。
テレワークに移行しても、SE(システムエンジニア)のようにノルマのある人は、サボることは難しく、きちんと上司に仕事を報告する。
しかし、ノルマのない人はタガが緩みがちだ。
米国のニュースで紹介されていたが、在宅勤務で気をつけることの一つはベッドルームを仕事の場所にしないということだ。近くにベッドがあれば、つい寝転んでしまうということだ。
それを地で行くような社員がいる。
シンコ先生の元には、「こんな社員がいて困っている」とある会社から相談があった。
午前中のテレビ会議に応答はなく、行方不明状態になる。午後3時ごろ、ようやくテレビ会議に出てきたと思えば、髪はボサボサで服装も寝間着のようなジャージー姿だった…。
外資系、日本企業合わせて約20社と産業医の契約を結んでいるシンコ先生。ボサボサ型の社員は日本企業ならでは現象だという。
「正社員の地位をいいことに、もともとあまり働いてこなかった人は、1人自宅に放たれると、パソコンのオフィス機能(ワードやエクセルなど)もろくに操れない。いつも人にやってもらっていたのですから、当然なんですけど」
中高年だけでなく、30代の社員にもこうしたタイプは存在するそうだ。そんな社員にしたのは会社の責任でもあるのだが、そうした社員はどこまで自堕落な人間になってしまうのか。