高市早苗総務相は「中小企業を支える団体と連携し、サポート体制の整備に取り組みたい」と話すが、「テレワークには限界がある」(総務省担当者)のも事実だ。本来は労働環境を整備した上で、やれるところからやるのがテレワークの基本で、そもそも感染拡大防止を在宅勤務に依存しすぎるのは無理があるのだ。
国土交通省が新型コロナの流行を受けて行ったアンケートでも、普段からテレワークを実施している人の6割近くが「特に問題ない」と回答しているのに対し、初めて実施した人だと8割以上がなんらかの問題を感じていた。「会社でないと閲覧・参照できない資料やデータがある」(31.3%)、「会社の制度が明確でない」(15.6%)、「同僚や上司との連絡・意思疎通に苦労した」というのが主な理由だ。
テレワークに詳しい東京工業大学の比嘉邦彦教授は「否定的な意見の多くは準備不足によるところが大きい」と指摘する。その上で、「テレワークは日本で深刻化する介護離職問題などにも有効だ。今回の経験でテレワークは使えないと決め付けるのでなく、より良い制度にするための経験として生かしてほしい」と話している。
(経済本部 蕎麦谷里志、松村信仁)