路上にわざと財布を落として通行人が拾うよう仕向け、警察に「盗まれた」と虚偽申告したとして、動画投稿で広告収入を得る「ユーチューバー」の男2人が偽計業務妨害容疑で大阪府警に逮捕された。2人は財布を拾った通行人だけでなく、「再生回数を稼げる」と警察が捜査する様子まで隠し撮りし、動画投稿サイト「ユーチューブ」に公開していた。後を絶たない行き過ぎた動画投稿。専門家は安易な行為の大きな代償を警告する。
あいりん地区で…
日雇い労働者の街として知られる大阪市西成区の「あいりん地区」。ここを舞台に撮影された1本の動画が1月上旬、「ユーチューブ」で公開された。投稿したのは派遣社員の男(22)と無職少年(19)の2人。
動画内で2人は、千円が入った財布を同地区の路上にわざと落とし、拾った通行人がどう対応するか試すと説明していた。
こうした動画は「検証動画」と呼ばれ、ユーチューブにはさまざまな種類の検証動画が投稿されている。
「10秒くらいでいかれる(盗まれる)んちゃう」と予想しながら、路上に財布を置き、近くの車で待機しながら隠し撮りする2人。しかし、思わぬハプニングが起きる。拾った財布を自分のものにしようとする通行人の男を問い詰めるはずが、2人が車から現場に到着する前に男が近くのホテルに入ってしまい、財布を回収できなくなってしまったのだ。
警察署内でも隠し撮り
「財布パクられた」。2人はすぐに最寄りの府警西成署に駆け込み、落とした財布を盗まれたとする被害を申告。その際、署内の様子も隠しカメラで撮影し、警察官から「どこで財布を取られたのか」「取った人物の見た目は」などと事情を聴かれる様子も、モザイクをかけた状態で投稿していた。