「マスク戦争」の戦犯は誰なのか 中国、日本から奪ったマスクを政治利用!? 有事に備え「中国依存」の脱却が急務だ

「マスク戦争」の戦犯は誰なのか 中国、日本から奪ったマスクを政治利用!? 有事に備え「中国依存」の脱却が急務だ
「マスク戦争」の戦犯は誰なのか 中国、日本から奪ったマスクを政治利用!? 有事に備え「中国依存」の脱却が急務だ
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 新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)はさらに加速しており、米ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によると、死者が10日、世界全体で10万人を超えた。2日に5万人を上回って約1週間で倍増したかたちだ。日本でも同日、新たに過去最多となる634人の感染者が確認された。累計は6159人。無症状でも他人に感染させるリスクが指摘されるなか、日本だけでなく世界各国で「マスク不足」が深刻化しており、強奪・盗難事件まで発生している。前代未聞の「マスク戦争」を引き起こした戦犯は一体誰なのか。国際投資アナリストの大原浩氏が緊急寄稿で解き明かす。

 日本政府が、「1世帯あたり2枚」の布マスクを郵送すると発表したことに対して、「アベガ-」などを中心に激しい反発が起こった。「アベノマスク」などという言葉も登場したようだ。

 これについては、中身のないウソを国民に広げるためにプロパガンダが洗練されているファシズム国家や共産主義国家と違って、日本人の伝統的考えである「良い仕事をすればみんな分かってくれる」という政府・官僚の広報対策の不備が責められるのは、ある意味仕方がない。しかし、この「布マスク2枚」は国家の全体戦略のあくまで一部だということを考えるべきであろう。

 現在有事にある日本国民は、ジョン・F・ケネディ大統領の「国があなたのために何ができるかを問わないでほしい。あなたが国のために何ができるかを問うてほしい」という名言を思い出すべきだ。

 特に悲しいのは、日本人同士がいがみ合うことである。

 マスク不足の原因として、転売屋やドラッグストアに行列する高齢者などがやり玉にあげられる。それが事実である部分もあるが、根本的原因は「中国」または「中国依存」にある。

 新型コロナウイルスの感染が拡大する前、日本のマスクの年間生産・輸入量は約55億枚だったが、そのうち約44億枚が輸入品(=ほとんど中国製)で、国内の生産量は約11億枚しかなかった。つまり国産比率が20%程度なので、(輸入が止まって)国産だけで過去の需要を満たそうと思えば、これまでの5倍を生産しなければならない。政府の要請で国内各社が増産しても、5倍というのは厳しいハードルだ。

 しかも、現在はほとんどの国民がマスクを使用しているので、全国民の8割程度の1億人が毎日マスクを使用すれば、年間では365億枚と過去の需要の約7倍にも膨らみ、到底調達できない。

 だから、新型コロナウイルスの感染拡大が長期化するなか、日本政府が(病院などに医療用マスクを回すために)再使用が可能な布マスクを国民に送付して、有効利用を要請するのは理にかなっているのだ。

 気になるのは、過去44億枚あった輸入品の行方である。AFP通信(7日)などは「中国は医療用物資の輸出を制限しているのか」などと報じている。

 検証可能な数字はないのだが、現在の中国からの輸入は週に1000万枚程度ともいわれるから、単純計算で年間5億枚程度で、過去の輸入量から比べれば雀(すずめ)の涙だ。

 しかも、そのようにして事実上日本企業=日本国民から奪ったマスクを、中国側がマスク不足に苦しんでいる各国にもったいぶって売りつけるという政治利用を行っているとすれば許しがたいことである。

 例えば、フランスには、マスク10億枚の供給と引き換えに、第5世代(5G)移動通信システムについて、中国の華為技術(ファーウェイ)の導入を求めたと伝えられた(=中国側は否定)。

 日本国民が怒りをぶつけるべき相手は、初期に日本からのマスクの寄贈を受けたにも関わらず(=そもそも、寄贈には問題があったが)、恩をあだで返す(人の足元を見る)中国共産党だとしか思えない。

 輸入依存で危険なのはマスクだけではない。

 在宅医療現場で使用されている人工呼吸器の約98%が輸入製品である。その他の医療製品も輸入比率がかなり高い。世界中で医療製品の取り合いが起こっており、この状況は非常に危険だ。

 食糧調達にも暗雲が立ち込めている。日本農業新聞によれば、4月3日時点でロシア、カンボジア、カザフスタンなど11の食糧輸出国が、自国への供給を優先する輸出規制を行っている。

 世界の穀物供給センターである米国でも状況は厳しい。新型コロナウイルス感染症の広がりによる国境封鎖・都市封鎖などによって外国人を始めとする労働者の確保が難しくなっているほか、配送トラック・配送センターの業務にも大きな支障が出ている。

 新型コロナウイルス感染は早く終息してほしい。もしそれが実現されなければ、われわれはまさに「戦時」の中で暮らさなければならないのだ。

■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

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