疫病から人間を守ってくれるという妖怪「アマビエ」が、国境を超えて静かなブームを呼んでいる。
京都大学附属図書館の資料によると、アマビエは弘化3年(1846年)、肥後国(現在の熊本県)の海に現れたとされる妖怪。人魚のような姿をしており、顔にあたる部分からクチバシが伸びている。人語を操り、疫病が流行したら私の絵を人々に見せなさい、と言い残したという。
日本では今月上旬から、新型コロナウイルス封じ込めの願いを込めてアマビエのイラストをSNSに投稿することが流行している。現役の漫画家が発信しているほか、妖怪をテーマにした漫画で知られる故・水木しげるさんの作品などを管理する「水木プロダクション」は17日、水木さんが描いたアマビエをツイッターで公開し「御大のアマビエ様だと効果が桁違いな気がする」などと話題を呼んだ。
日本での広がりが世界に伝わったのか、16日ごろから、海外のネットユーザーが自作したアマビエ作品をSNSで発表しだしたようだ。ツイッターでは、台湾の原型師が、アニメキャラのようにかわいらしくアレンジされたアマビエのミニフィギュアに「疫病退散!」とコメントを添えた写真を投稿。マレーシアのイラストレーターは、アマビエをカラフルなマスコットのように描き「皆さんの安全を願っています」と英語で記した。
インスタグラムでも同じように「#amabie」や「#yokai(妖怪)」などのハッシュタグ(話題をまとめる機能)を使って、英国のイラストレーターやオランダの刺繍アーティストらが作品を見せ合っている。インターネットを経由して、日本中どころか世界中に自分の姿が広まっていると知ったら、アマビエもさすがに驚くかもしれない!?