政府は新型コロナウイルス感染が拡大している中国と韓国に対する入国制限を決めた。だが、習近平政権への配慮から当初の対応が甘く、遅きに失した感は否めない。国際社会の「自国第一主義」があぶり出されるなか、国際投資アナリストの大原浩氏は寄稿で、日本は韓国のような中国依存の脆弱(ぜいじゃく)な構造の国を反面教師とし、ビジネス面でも脱中国を進めるべきだと強調する。
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安倍晋三首相の要請による小中高校などの一斉休校については、要請そのものを考えれば、それなりに妥当な判断だと思う。また、5日には中韓からの入国制限を公表したのだが、もっと前から「中国からの入国全面禁止」を行うべきだったという非難から免れることはできない。
法律うんぬんで官僚が頑強に抵抗したという議論があるが、それならば習主席に「団体旅行だけではなく、個人旅行やビジネスでの訪問も禁止」にするよう要請すればよかったのだ。当時の状況で、「国賓招待」との交換条件なら、習氏も断れなかったはずだ。
現状は、燃え盛る家から自分の家に飛び火するのを傍観していて、燃え移るのを確認してから命がけで消火活動を行っているようなものである。
マスク売り切れ騒動も「転売屋」やドラッグストアの抱き合わせ販売が非難されているが、本当の問題点は過度の輸入依存だ。2018年に日本で約55億枚流通したマスクのうち、国産は約11億枚で残りの約44億枚は輸入品だ。輸入比率がなんと80%にのぼる。輸入品の多くが「メイド・イン・チャイナ」と推定されるが、彼らが自国の緊急事態において「思いやり精神」や「恩返し」で日本への輸出を続けているだろうか。