厚底シューズめぐる世界陸連の新ルール 現場は冷静「公平性保たれた」「想定内」

昨年9月の東京五輪マラソン代表選考会でナイキの厚底シューズを履く選手たち
昨年9月の東京五輪マラソン代表選考会でナイキの厚底シューズを履く選手たち

 世界陸連が1月31日に発表したシューズに関する新ルール。ナイキ社製の厚底シューズ「ヴェイパーフライ(VF)」を履いた選手が好記録を連発し、その是非が議論される中、市販されている現行のVFは東京五輪や代表選レースで使用可能となった。道具の進化と記録、競技の魅力の関係性は繊細で複雑なもの。ひとまずの落としどころを日本の関係者は比較的、冷静に受け止めた。(宝田将志)

 MHPSの黒木純監督は「選考上の公平性は保たれたと思う」と語る。指導する井上大仁は今季からVFを使用。井上が東京五輪代表入りのために3月の東京マラソンで最低限クリアしなければならない記録は2時間5分49秒で、これは大迫傑(ナイキ)がVFでマークした日本記録2時間5分50秒を基に算出されたタイムだからだ。

 日本陸連の河野匡長距離・マラソンディレクターは「想定通り。(VFが)全面禁止なら質問状を出さないといけないと考えていた。他国も代表選考に関わる時期だから大混乱だったろう」としたうえで、「規制の変更は長期的な展望を持って行ってほしい」と指摘する。

 ナイキは靴底にカーボンプレートを3枚内蔵した超厚底の新製品を開発し、近くサポートする選手に提供するとの観測が広がっていた。新ルールは、この流れに歯止めをかける狙いがあったとみられ、陸連関係者は「既存の物と記録は受け入れ、これ以上は駄目だよということ。(実情に合わせて)上手く判断したのでは」と解説する。

 一方、思わぬ余波もある。メーカー関係者が注視したのは、全てのシューズは公平性の面から「4月30日以降の大会では、4カ月以上前から市販されているものでなくてはならない」と定められた点だ。

 アシックス社が開発した短距離用のピンなしスパイクはまだ市販されておらず、流通の開始時期によっては桐生祥秀(日本生命)らが実戦で使えない可能性が浮上。アシックスの関係者は「日本国内で数量限定の販売でもいいのか、などルールの解釈を確認しないといけない」と述べ、桐生を指導する土江寛裕コーチは「履く前提で準備しているので影響が全くないとは言えない。世界陸連が揺らいでいるのが問題だ」と語った。

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